2014 Fiscal Year Research-status Report
ステイタスに基づいた都市ブランドパワーモデルの開発と都市ブランドマップの作成
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26540174
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
金光 淳 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (60414075)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 都市ブランド / 京都ブランド / 観光学 / ウェブ調査 / 社会ネットワーク分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本調査のための予備的な「都市ブランドに関する10大都市ウェブ調査」を札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡の10大都市について行なった。調査では、性別、地域、全国人口比例に消費者をサンプリングしてもらい、性別、年齢、居住地域のフェースシートとともに消費者の世帯年収と職業的なステイタスに関するデータを採取し、「食」「衣」「遊」の3財に関して価値の高い財を提供していると思われる都市にそのランクをつけてもらった。 京都都市ブランドについて興味深い知見を得た。都市ブランドの社会的階層仮説、京都ブランド関東卓越説、京都ブランド関西優位説、京都ブランド中高年女性優位仮説が提出され検証された。ロジスティック回帰分析、カテゴリーデータ分析は、京都ブランド関西優位説のみを支持した。コアな京都観光客である中年女性の京都ブランド評価は高くなく、京都ブランドは若い女性と40代女性、50代男性の高評価に支えられていることが示された。他方、高いと予想されていた富裕層、社会的高地位者の京都ブランドへの評価は相対的に低く、都市ブランドのステイタス仮説は単純には支持されなかった。またネットワーク分析は都市間の階層的都市ブランド構造、つまり東京・京都を中核、他の都市を周辺とする中心―周辺構造を示していた。 この結果は京都産業大学総合学術研究所報告書に論文として掲載されたほか、経済社会学会(8月)数理社会学会(3月)でも発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備的な調査により10都市の間であるが、極めて不平等なステイタス分布が得られた。またモデルとして消費者の職業と所得を合成した社会地位スコアによって加重したステイタスモデルを使用した場合のほうが、より歪んだ不平等なスコア分布を呈することも示された。今後は当初の予定にそって社会ネットワーク分析で使用されるいわゆるステイタス中心性モデル(Katzの中心性、Hubbelの中心性、Bonacichモデル、PageRankモデルなど)での振る舞いを比較するシミュレーションにより理論的な検証作業を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
モデル研究がなされ、最適なステイタス測定のモデルを確定した後は本来の目的である大規模調査と都市ブランドマップの作成が行われる。全国規模の消費者データを収集するためにインターネット調査会社を活用し、大規模の消費者と都市サンプルのデータを収集し、実際に都市ブランド・パワーを測定する。都市数は300ほど、消費者は5000サンプルを予定している。この調査においては約300の都市に関して1~10のランクを与えるという形で都市の評価を測定する。 こうして集められたデータを使用して都市ブランドパワーが測定される。その際にMATHEMATICAでプログラムを作り、計算を実行することを予定している。計算結果は、日本の都市ブランドパワーについての正確なマップとして要約し、公開する。それと同時に、特に関心のある「京都ブランド」の全国的な位置づけを確認する。
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Research Products
(3 results)