2015 Fiscal Year Annual Research Report
水晶振動子マイクロバランス法を用いる大気有機エアロゾル成分の有機ガス吸収の解析
Project/Area Number |
26550006
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
持田 陸宏 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (10333642)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 水晶振動子 / 有機エアロゾル |
Outline of Annual Research Achievements |
大気エアロゾル成分のモデル物質の水溶液や、大気エアロゾル抽出物のメタノール溶液を噴霧し、水晶振動子に付着させた。硫酸アンモニウムを付着させた水晶振動子を水蒸気に曝露したところ、低湿度の条件から高湿度の条件に変化させる過程において、共振周波数の明確な上昇が見られた。これは、相対湿度がおよそ80%からおよそ90%に切り替えた時であり、付着した硫酸アンモニウムが潮解により固体結晶から液体に変化する際に、粘性の低下の効果が質量増加の効果よりも強く現れたためだと推測される。レボグルコサンを付着させた水晶振動子を水蒸気に曝露した実験では、50%未満の相対湿度において湿度の上昇とともに共振周波数の低下が見られた一方、50%を超える相対湿度においては、共振周波数が上昇に転じる現象が見られた。レボグルコサンをエタノール蒸気に曝露する実験や、名古屋の大気エアロゾル試料から抽出した成分を水晶振動子に付着させ、エタノール蒸気に曝露する実験も行ったが、その結果は十分に解釈できていない。今回の実験で得られた水晶振動子の共振周波数の変化を解釈するには、気相物質の取り込みに伴う付着物の質量の増加と、粘性の低下の2つの効果を考慮する必要があると考えられ、今後、この点について評価をするためには、水晶振動子法と異なる方法との比較検討を要するかもしれない。気相/粒子相間の物質移動の定量は達成できておらず、先行研究の例がある潮解点の計測において技術的知見を蓄積した後に検討に移ることが有効な方針として考えられる。
|