2015 Fiscal Year Research-status Report
海氷コアを採集しないアイスアルジーのモニタリング手法の開発
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26550015
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
朝隈 康司 東京農業大学, 生物産業学部, 助教 (60349818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩本 明弘 東京農業大学, 生物産業学部, 教授 (40344329)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | サロマ湖 / 海氷 / アイスアルジー / クロロフィルa / 蛍光観察 / 資源量見積もり |
Outline of Annual Research Achievements |
海氷内部はブラインホールやチャンネルにより散乱係数が真水氷と比べて数倍程度大きい。このため、海氷上部に1点照射された励起光(405 nm, CW)は海氷内部の散乱により広がり、アイスアルジーの存在する氷下部では平均的に広い範囲が励起光の照射を受け蛍光する。平成27年度は、この範囲を集光することで、海氷上面からアイスアルジーによる蛍光観測の時間短縮と精度向上を目的として、昨年同様に疑似海氷(32 PSU)を作成し、励起光の海氷内散乱角の計測を中心に行った結果、氷内の散乱広がり角は40°程度であることがわかった。ただし、結氷温度、振動などブラインホール生成条件によってばらつきが大きいため、今年度もデータ収集を継続する。また、40°の広がり角を前提に焦点可変レンズ、蛍光付近(470 nm)のバンドパスフィルタを用いてMMPC並びにアレイの代わりにスターライトカメラによる光学系を設計も行ったが、開発遅れにより気温が上昇してしまったため、焦点中心からの滲み関数(PSF)の定量には至らなかった。今後、冷凍庫内に装置を設置し計測を継続する。また斜め方向にレーザーを照射し、バイスタティック計測により、氷内クロロフィルa濃度の鉛直分布を求める方法を検討した。昨年はラマン散乱の利用を検討したが、クロロフィルaの蛍光付近に励起光の1/2倍高調波が観測できたため、高調波を利用することを検討している。 音波による氷内の物理的構造に関しては海氷内の減衰が大きいが、今回利用した探傷機(オリンパスEPOCH100)の場合、一度の計測では5 cm 程度の範囲でブラインホールの分布を計測でき、ゲインを変更しながら合成することにより、20 cm までの分布を撮れることを確認した。計測中に氷表面が融けてくるため熟練を要するが、冬季以外も冷凍庫内で作業するなどでデータ収取を継続し、物理構造と氷内散乱の関係を取得する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海氷内の405 nm(励起光)における散乱パラメータの取得に関しては概ね順調である。しかし、前年度同様、音波計測の遅れによりブラインホールの物理的配置と励起光の散乱パラメータの関連性がとれていない。 また、フィールドでの直接観測を予定していたが、結氷の遅れ、暴風雪によりスケジュールがうまくあわず直接観測が実現できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに引き続き、海氷内の励起光、蛍光の光学パラメータ取得を継続し、音波による海氷構造との関連データベース作成を継続する。これに加えて、昨年度、クロロフィルaによる蛍光と励起光のラマン散乱光もしくは1/2高調光の輝度値が近いことから、励起光をガイドとした斜め方向へのレーザー照射とスターライトカメラによるバイスタティック観測ならびに、クロロフィルa濃度の鉛直分布が取得できる可能性を見出したので、照射角度などの最適条件を設定、実現する予定である。さらに、UAVへの搭載を視野にいれ、装置の小型化なども検討する。
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Causes of Carryover |
クロロフィル蛍光の集光方法など研究計画に一部方針変更があったため、開発の遅れに伴い年度内の納品が困難であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年購入予定であった、光学部品等の消耗品を物品費で購入予定。
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