2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26550023
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
布浦 拓郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋生命理工学研究開発センター, グループリーダー (60359164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 善弘 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 深海・地殻内生物圏研究分野, 主任技術研究員 (10399561)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海洋循環 / 微生物生態 / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
微生物は海洋表層から深海底までに至るあらゆる水塊環境に生息するが、その分布は決して一様ではない。有光層で光合成により合成された有機物は、従属栄養細菌によって分解されつつより深い水深へ沈降する。従って、非常に単純化すれば、海洋表層での一次生産量が各海域の光の届かない水塊の微生物マスまで規定すると考えられる。しかし、実際には、温度や塩分濃度の変動、潮流等の物理化学的性質による成層構造が存在し、微生物のマスや群集構造は、それぞれの水塊におけるエネルギー源、炭素源や栄養塩等の環境要因によって、より複雑に決定されると推測されている。また、このような海洋における成層構造は、物理的な集団の隔離にも貢献し、同一地点での特定系統群における遺伝子型の違いが、この物理的隔離によって説明可能な事象もこれまでに観察されている。したがって、全海洋における深海微生物集団の交流が実際に存在するとならば、千年スケールで北大西洋極域から南極・北太平洋亜寒帯域まで循環する深層熱塩循環は、その最も有力な経路として想定される。本研究の目的は、その深層循環域の微生物群集の生物地理を明らかにすることである。平成26年度において、北太平洋亜寒帯域を横断する測線で採取した海洋表層から海底直上までの水塊試料に対し、平成27年度は微生物マスの定量、16S rRNA遺伝子タグ解析、メタゲノムライブラリーのシーケンス解析を実施した。現在、シーケンス解析によって得たデータに対する情報解析、及び微生物マス定量データの取りまとめを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度に想定していたメタゲノム解析の為のライブラリー構築技術の確立が、平成27年度にずれ込んだため、シーケンス解析は実施できたものの、その情報解析には至らなかった。その為、1年間本計画を延長することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度までに技術的課題はほぼ解消することが出来た。平成28年度の解析は、研究者の所属機関内において、ほぼ確立した情報解析技術により、解析を進めることで、本研究の目的は達成できると考えている。
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Causes of Carryover |
平成26年度に想定していたメタゲノム解析の為のライブラリー構築技術の確立が、平成27年度にずれ込んだため、シーケンス解析は実施できたものの、その情報解析には至らなかった。その為、平成27年度に想定していた情報解析や、その結果に基づき生じる追加シーケンス解析を実施して本計画を完遂する費用を次年度に繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
情報解析や追加シーケンス解析、及び成果を報告する為の費用として使用する。
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