2015 Fiscal Year Research-status Report
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26550035
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
鳥居 建男 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島環境安全センター, 特任参与 (20421795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞田 幸尚 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 福島研究開発部門 福島環境安全センター, 技術副主幹 (40446448)
村岡 浩治 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, その他部局等, 研究員 (80358655)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 雷放電 / 制動放射線 / 逃走電子 / 雷雲 / 航空機観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの地上観測で観測されている雷活動に起因すると考えられる高エネルギー放射線は、雷雲の電界構造(3極もしくはそれ以上の多極構造)から雷雲上部でも観測される可能性が考えられた。そこで、航空機を用いて雷雲上部において放射線発生のトリガーとなり得るラドン(壊変生成物)が放出するガンマ線や宇宙線起因の高エネルギー放射線のスペクトルを測定し、雷放電データとの関係から雷活動に起因した高エネルギー放射線(制動放射線)の発生源との関係を把握しようとした。しかし、平成27年度航空機観測を準備した時期に観測予定場所に雷雲が発生しなかったことから観測を次年度に延期することにした。しかし、昨年度の観測結果等については、国内外の学会、研究会でその成果を報告し、当該分野の研究者等から高い関心を持って見られた。特に、高山で同様の観測データが得られているアルメニアのエレバン物理研究所で開かれた国際ワークショップに招待され、これまでの観測結果や解析結果について講演した。 また、放射線挙動計算用にモンテカルロ計算コードを整備し、大気中の放射性物質が放出するβ・γ線発生ルーチンを組み込み、雷雲電界内での放射線挙動を解析して放射能による大気の電離密度の変動解析を継続して行った。今年度は、さらに宇宙線(ミュオン)起因の高エネルギー放射線と雷放電発生のメカニズムに関する解析調査を行った。その結果、これまでのβ・γ線の解析だけでは分からなかったことが明らかになり、昨年度までの観測結果との比較の上、論文投稿の準備をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、研究計画に基づき、「原子力災害発生時」の放出放射能による大気電気的影響の解析は予定どおり実施できているが、「大気中ラドンのサンプリング測定」において、測定の前提条件となる雷雲の発生状況が悪く、測定を予定していた8月と12月に測定用航空機の飛行予定区域(中部、関東、東北南部)において、雷雲が発生せず、次年度に持ち越す部分が生じた。 解析・測定と並行して国内外の学会(JpGU、EGU、AGU)においてこれまでの研究成果の発表を行っており、測定の一部は平成28年度に持ち越したものの、概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、飛行観測予定期間に観測地域において雷雲が発生しなかった。特に夏季は、飛行予定が8月下旬にしか設定できなかったことから、次年度は雷雲の多発が予想される時期に飛行計画を調整して実施したいと考えている。 また、解析については、今年度整備した計算コードで宇宙線ミュオンによる影響解析を実施する。 得られた成果は、国内外の学会、論文、プレス発表を通じて広く公表する。
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Causes of Carryover |
平成27年度に予定していた航空機によるラドンのサンプリング及び濃度測定が天候的な問題(雷雲の発生状況)により実施できなかったため、測定を平成28年度に持ち越すこととした。これにより、測定に係る経費が次年度使用額として生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、観測予定の夏季と冬季に実験用飛行機がある県営名古屋空港までの旅費、及び論文投稿するためデータ解析補助、投稿料として使用する。観測予定としている7,8月、12月に上記旅費の補助として、及び論文投稿予定の9月までに使用したい。
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