2015 Fiscal Year Annual Research Report
「小胞体膜受容体」内分泌撹乱物質・タモキシフェンの新奇標的に迫る
Project/Area Number |
26550040
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
下東 康幸 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00211293)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有害化学物質 / 内分泌かく乱物質 / タモキシフェン / 乳がん / 小胞体膜受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、「抗乳がん剤・タモキシフェンの小胞体膜受容体タンパク質を同定する」ことであり、さらに、「このタモキシフェン受容体に結合しない誘導体を新規な抗乳がん剤として開発する」ことである。このため、①小胞体膜に存在するタモキシフェン受容体の単離・精製・一次構造の決定とタンパク質同定、②タモキシフェンによる受容体機能阻害、あるいは機能昂進(増進)の解析、③タモキシフェン受容体に結合しない抗乳がん剤、すなわち、抗エストロゲン剤の開発、に取り組んだ。 小胞体膜タモキシフェン受容体の単離・精製について、小胞体単離の方法からの試みは小胞体単離自体に成就せず、今回研究では断念した。しかし、細胞核と小胞体を一体として、あるいは細胞膜を除外して単離・精製する方法に転換し、さらに別途な担体をデザインして精製に部分的に成就した。現時点では未だ成功していないが、成就を目指して現在さらに、継続的に試行している。一方、細胞核の外膜に存在する受容体の検討から思いがけず候補タンパク質が約10種をリストアップすることができた。これらについて、siRNAを用いた発現阻止条件下で数種に絞り込むことに成就した。これが目的のタモキシフェン受容体かを引き続き精査する。 抗エストロゲン剤の開発については、昨年度にエストロゲン受容体には結合するものの、小胞体膜タモキシフェン受容体には結合しない化合物の合成に成功し、これらが抗エストロゲン作用、すなわち、乳がん細胞増殖抑制作用を示す化合物の取得に成功した。本年度は、さらに高活性な化合物の数種の取得に成就した。したがって、抗乳がん剤、すなわち、抗エストロゲン剤の開発については研究計画を達成することができた。
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Research Products
(3 results)