2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of physiological lung epithelial model
Project/Area Number |
26550046
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 康行 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00235128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諏訪部 章 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20241713)
岩沢 こころ 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (30402796) [Withdrawn]
小笠原 理恵 岩手医科大学, 医学部, 助教 (70347871)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生物・生体工学 / 細胞・組織 / 環境 / 薬学 / ナノ粒子 / 経肺吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である平成28年度では,二重底培養器 (カルチャーインサート) 内にラット初代培養細胞のみを用いて肺胞上皮細胞と肺胞マクロファージによる共培養を形成した肺胞組織モデルに対して,蛍光ナノ粒子を用いた透過実験を行った。その透過の経時変化をコンパートメントモデルを用いて,コンパートメント間のナノ粒子の移行速度を濃度の一次に依存するとした物質収支式で記述することにより,組織モデルの定量結果に基づく数理シミュレーションを行い,ナノ粒子の肺胞部における局在性と血中移行性について検討を行った。 カルチャーインサート内に肺胞上皮とマクロファージの共培養系を構築し,内腔側に蛍光ナノ粒子 (SiO2粒子10, 30, 100 nm)を暴露し,所定時間経過後に各コンパートメントの粒子を回収,微量分光蛍光光度計により粒子量を定量した.数理モデルは,コンパートメント間の移行速度が,各コンパートメントの濃度に一次であると仮定して正逆反応を考慮したものである。実験値をこのモデル式にフィッティングすることで,コンパートメント間の正逆反応の物質移動係数kを算出した.Euler法により数値解を得ることで数理シミュレーションを行い,粒子の移行性について検討を行った.数理モデル式はナノ粒子の移行を簡便に記述できることが示された.ナノ粒子に懸念される,他臓器への間接障害へ繋がる血中移行性に注目すると,粒径と血中移行量に負の相関が見られ,体内移行性をこの物質移動係数により比較可能であることが示された. 本結果は,定性的には対応する動物実験の結果と一致したが,絶対値の比較では血中移行が過大評価されており,今後は,肺胞上皮と血管内皮からなる肺胞膜のより忠実な再現,共培養時のマクロファージの貪食速度の活発化などの新たなメカニズムの数理モデルへのの数理モデルへの導入等の改善が必要となることが示唆された。
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Research Products
(5 results)