2015 Fiscal Year Research-status Report
原子レベルの化学状態解析に基づく(ナノ)タングステンの土壌中での挙動・毒性解明
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26550047
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
橋本 洋平 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80436899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光延 聖 愛媛大学, 農学部, 准教授 (70537951)
豊田 剛己 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30262893)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | タングステン / 吸着等温線 |
Outline of Annual Research Achievements |
タングステンは,狩猟に用いられる鉛弾や釣りの錘(おもり)の代替材料,ならびにナノ粒子の光触媒効果を利用した消臭剤への利用が近年急速に拡大している.回収されない射撃弾や錘は風食されて,周辺土壌でタングステンが高濃度に蓄積することが確実に予想される.本研究では,タングステンの水系および土壌における溶解性ならびに土壌鉱物との吸着特性を明らかにすることを目的とする. 27年度は,異なるpH条件における各種粘土鉱物に対するWの吸着挙動を明らかにすることを目的として研究を進めた.各種粘土鉱物に対するW吸着試験:Montmorilloniteおよび合成したferrihydrite,goethite,birnessiteに対し種々の濃度のNa2WO4・2H2Oを添加し,pH3,6および9の条件下で吸着等温線を作成した.作成した吸着等温線はFreundlich吸着等温式に回帰し,W吸着の親和性を示す分配係数(Kd)を算出した.酸性からアルカリ性域において,粘土鉱物とWの吸着の親和性を示す分配係数(Kd)は, goethite(4.14~64.3) ,ferrihydrite(19.4~25.9), birnessite(0.397~2.17),montmorillonite(0.027~0.36)の順に大きくなった.このことから,溶液中のWは層状ケイ酸塩鉱物よりも鉄鉱物に吸着しやすいことが判明した.Goethite,birnessite ,montmorilloniteはpHが3から9に上昇するのに伴いKdは低下した.一方でferrihydriteでは,pH条件によるKdの変化は小さいことが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種粘土鉱物に対するタングステンの吸着挙動が明らかになり,吸着選択性の序列がpHによって異なることが判明した.
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Strategy for Future Research Activity |
粘土鉱物に対するタングステンの吸着に及ぼす競合イオンの影響を明らかにしていく.競合イオンとして検討しているのは,同じオキソ酸であるリン酸やモリブデン酸を検討している.これらの元素は土壌中においても重要である.基礎的な知見として学会誌に発表することを目指して取り組む.
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