越境大気汚染モニタリング特定湖沼の提案

2014 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26550050
• Research Institution: Kumamoto University
• Principal Investigator: 細野 高啓 熊本大学, 大学院先導機構, 准教授 (30367065)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 越境大気汚染 / 湖沼堆積物 / 放射性年代 / 微量金属 / 鉛安定同位体比 / 環境モニタリング / 環境影響評価 / 汚染史解読

Outline of Annual Research Achievements

本研究では、湖沼堆積物からの情報を抽出することにより、列島に及ぼす越境大気汚染100 年史解読を目指している。この目標を達成するための計画として、H27年度は、①アーカイブス試料の酸抽出処理、②微量元素を対象とした化学分析、③羊蹄山山頂の火山湖堆積物採取といった野外調査の実施、の三つを主な活動計画としてきた。実際、計画に沿って①と②に相当する研究活動を実施し、適切な処理や試料採取を完了できたことから、計画された研究は順調に進んでいると評価できる。②に関しては補助員雇用の遅れから十分に分析が進んでいないため、来年度以降の計画にずれ込むことになった。しかし逆に、来年度以降計画していた愛媛大加准教授との協力関係を先に進めることで、プロジェクト研究全体の要となっていた、堆積年代解析を終了させることができ、このことは極めて重要であったため、全体として研究のは計画通りに進んでいると評価することが出来る。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

先に述べた通り、研究プロジェクト期間全体目標を達成するための計画として、H27年度は、①アーカイブス試料の酸抽出処理、②微量元素を対象とした化学分析、③羊蹄山山頂の火山湖堆積物採取といった野外調査の実施、の三つを主な活動計画としてきた。実際、計画に沿って①と②の研究活動を実施し、適切な処理や試料採取を完了できた。②に関しては立ち遅れているが、プロジェクト全体の計画でもきわめて重要な堆積年代の推定解析を前倒しで終了させることが出来たので、研究全体としてはおおむね順調に進展していると評価することが出来る。

Strategy for Future Research Activity

研究プロジェクト期間全体目標を達成するため、H28年度は、作業として①微量元素を対象とした濃度分析、②鉛同位体分析の二点を終了させることを計画している。続いて、昨年度前倒しで解析が終わっている年代軸に①および②の結果を重ね合わせて越境汚染史解読を行い、この研究結果を、③プラハで開催されるGoldschmidt国際会議にて発表し、更にこの内容を練ることで④関連分野の国際誌に原著論文投稿用の原稿執筆を開始することを計画している。①および②の作業は研究補助員の雇用を期待しているが、消耗品であるアルゴンガスや国際学会参加旅費に相当費用がかかるため、期間内全体を通した人件費が十分でない場合は卒業学生の研究テーマとして作業推進を図る等、工夫を凝らしたいと考えている。

Causes of Carryover

現状として、当初計画書申請段階での必要経費に比べ、実際に配分された研究費は十分でなく、本年度技術補佐員を雇用するには中途半端な金額のため、雇用することができなかった。しかし幸いなことに、今年度は研究協力者である研究室所属のポスドク研究員の協力をお願いすることができたため、無事計画通り計画試料処理を完了することが出来た。しかし、来年度以降の研究補助は確保されていないため、次年度以降専属で研究推進に従事していただく補助員を雇用するため、基金は一部来年度以降に繰り越すことを計画している。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度以降の化学分析、および、鉛安定同位体比分析の実施にあたり、補佐員雇用費ならびに大量分析のため必要以上に経費がかかることが予想される、アルゴンガス消耗品代に充てたいと計画している。