2014 Fiscal Year Research-status Report
メタン生成菌による二酸化炭素固定とメタン生成プロセスを模倣した触媒反応系の創生
Project/Area Number |
26550054
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福嶋 正巳 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40344113)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 環境技術 / 環境材料 / 触媒・化学プロセス / 超分子化学 / 生体機能利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
メタン生成菌によるCO2のメタンへの転化プロセスの初期では、CO2のメタノフラン(MFR)へのアミノホルミル化による固定化反応が重要である。そこで、超臨界CO2/腐植物質水溶液二相系におけるMFRへのホルミル化に関する検討を行った。MFRのモデルとしてベンジルアミンを、触媒としてRuCl3, Pd(OAc)2, Fe(II), RuCl2(PPh3)3を、水素化物として水素化ホウ素ナトリウムを用い、10 MPa, 80度の条件でCO2を圧入して反応させた。しかし、腐植物質の有無、どのような触媒を用いてもベンジルアミンのホルミル化は観測されなかった。反応溶液の解析を行った結果、腐植物質が共存しRu触媒を用いた場合、ギ酸の生成が顕著であることがわかった。したがって、CO2は主としてギ酸へと還元されていると考えられる。一方、ルイス酸共存下でアミンはギ酸によりホルミル化されることが報告されている。ゼオライトのようなルイス酸共存下で、ベンジルアミンがベンジルホルムアミドへ転化されることを確かめた。さらに、反応後のガス成分について、メタンガスセンサーを用いて計測した結果、7 - 10パーセント程度のメタンが検出された。メタンセンサーの場合、H2等可燃性ガスは検出されてしまうので、ガスクロマトグラフィーによる詳細な分析が今後求められる。 以上から、CO2のギ酸への還元に及ぼす腐植物質や金属触媒の影響についてさらに深く検討を進めることにより、効率のよい金属錯体を見いだすとともに、ゼオライトなど固体酸触媒によるベンジルアミンのギ酸によるホルミル化についても検討を進める。その結果により、ギ酸によるホルミル化を促進させる固体酸触媒にギ酸生成を促進する触媒を複合することにより、オートクレーブ内でワンポットでホルミル化が進行する反応系を構築していくことを考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オートクレーブ内での反応でホルミル化が観測されなかったことから、反応前後における腐植物質の構造的特色の変化に対する検討が進んでいない。H27年度は、腐植物質の構造解析も進めたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
超臨界CO2システムではギ酸への還元に及ぼす腐植物質と金属錯体の影響をより詳細に検討して、ギ酸がもっともよく生成する条件を見いだす。併せて、ベンジルアミンのギ酸によるホルミル化に及ぼす固体酸触媒の影響を検討する。これらの検討結果により、ギ酸の生成を促進する金属触媒を固体酸触媒に担持して、超臨界CO2系でワンポットでホルミル化できる反応系を構築する。
|