2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26550055
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉岡 敏明 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (30241532)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セシウム / 濃縮 / イオン会合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、まず、ポルフィリンとしてα, β, γ, δ-tetrakis (4-sulfonatophenyl)-porphine(TPPS)を用い、錯形成を補助する物質として4-propyl-pyridine、イオン会合体の有機陽イオンとしてHexyltriphenylphosphonium (HTPP+)、有機陰イオンとしてPerfluorooctanoate (PFOA-)を用い、水相のCsがイオン会合体相へ濃縮可能かどうかの検討を行った。結果、Csに対する錯形成は確認されず、ポルフィリンの中心部の空間サイズは約4Åに対しCsのイオンサイズが約3.62Åと近い上、Csはアルカリ金属で水和エネルギーが大きいことが原因として示唆された。そこで、Csに対する錯形成物質として新たに、クラウン系のDibenzo-24-crown-8(DB24C8)(カウンターアニオンとして2,4-Dinitro-naphthol(NOL-))および4’-Carboxybenzo-18-crown-6(CB18C6-)、分子量400のポリエチレングリコール(PEG-400)、ホウ素系のテトラフェニルボレート(TPB-)を検討した。クラウン系およびPEG系を溶解するための混和溶媒としてDMSOを用いた。その結果、TPB-において最も良好な結果が得られ、Cs+ : TPB- = 1 : 2.5の条件において抽出率50.0%、分配比(水相のCs濃度に対するイオン会合体相のCs濃度)は1000となった。これは、TPB-が水に可溶であり、Cs-TPB錯体の生成及び水相からイオン会合体相への移相が効果的に行われたためと考えられる。一方、PEG-400は複数の酸素の非共有電子対により包接がされにくい上水和力が大きいこと、クラウン系の場合、DMSO添加による水相への溶解性が高まったため抽出率や分配比が減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りポルフィリンを用いたCsとの錯形成について検討を進め、さらに、様々な錯形成物質の比較・検討を実施した。TPB-を用いることで、比較的高い抽出率50%および分配比1000が得られ、次年度以降の方向性が定まった。よって、おおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
TPB-を用いた様々な操作条件(撹拌速度、TPB-量、イオン会合体量等)の影響について検討し、抽出率及び分配比の向上を目指す。さらに、様々な種類の有機陽イオン及び有機陰イオンを検討し、抽出率および分配比に及ぼすイオン会合体種の影響を明らかにする。また、実際の廃液や汚泥にはCsイオンと競合する他の金属イオンが存在するため、その競合の影響を検討する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に想定していた、英文誌への投稿に要する英文校閲費用および研究成果投稿費用を今年度使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の繰越分は、平成27年度にて英文校閲費用および研究成果投稿費用として使用する。それ以外の物品費および旅費は当初の計画通り使用する。
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