2015 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気性古細菌と硫黄代謝細菌の融合制御による硫酸塩含有廃水の新規処理技術の研究
Project/Area Number |
26550056
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
李 玉友 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30201106)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 環境技術・環境負荷低減 / 環境保全 / 排水処理 / バイオエネルギー / メタン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、省エネルギー・創エネルギー的嫌気性処理技術を硫酸塩含有化学工場廃水に応用するために、メタン生成、硫酸塩還元および生物脱硫の3つの生物反応を融合することで、新しい嫌気性処理融合プロセスを開発しようとするものである。具体的には,硫酸塩本研究は、省エネルギー・創エネルギー的嫌気性処理技術を硫酸塩含有化学工場廃水に応用するために、メタン生成、硫酸塩還元および生物脱硫の3つの生物反応を融合することで、新しい嫌気性処理融合プロセスを開発しようとするものである。 H27年度は廃水組成の変化が化学工場廃水の嫌気性処理におけるメタン生成と硫酸塩還元に与える影響を把握することを目的とし,廃水の成分である酢酸とエタノールの濃度を変化させた連続実験を行った。酢酸が主成分の条件では,効率的にメタン生成が行われ,硫酸塩除去率が比較的低い水準に維持できた。一方エタノール3000mg/Lの条件において,未解離性硫化物濃度は169 mg/ Lに達し,メタン生成阻害は41.5%に達したことから、硫酸塩還元による阻害が起きることが分かった。また、UASBリアクターにおける硫酸塩還元細菌(SRB)とメタン生成古細菌(MPA)の競合関係の変化に及ぼす長期運転の影響を把握するために、長期連続実験を行った。長期間の連続運転によって、メタン生成速度は徐々に減少し、連続実験の末期で硫酸塩除去率はほぼ100%に達したものの、硫酸塩還元に利用されていないCODはメタンに転換され、COD除去には大きな影響がなかった。なお、比較検討としてでんぷん系排水、メタノール系排水に関する連続実験も行った。 本研究課題の推進により高濃度の硫酸塩を含む化学合成廃水についてUASBプロセスを用いた省エネルギー・創エネルギー処理が可能であることを明らかにすることができた。今後、実装化に向けて実産業廃水を用いた応用検討が期待される。
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