2015 Fiscal Year Research-status Report
焼却飛灰の鉱物学的重金属不溶化と早期土壌還元を実現するジオモディフィケーション
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26550059
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 史武 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (00414376)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 焼却飛灰 / 重金属不溶化 / 土壌還元 / 鉱物学的表面修飾 / 鉱物生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、一般廃棄物の焼却飛灰や石炭灰を対象に、飛灰粒子の表面形状や3次元特性について分析した。一般廃棄物の焼却飛灰粒子の場合、主にケイ素からなり、複雑な構造を持つコア骨格、その周りを覆うアルミニウム/カルシウム/ケイ素を主体とする准溶解性マトリクス、および塩化ナトリウム/塩化カリウムを主体とする表面層となる構造を持つことを見出した。 また、その表面に選択的に微小鉱物を生成させて、生成する鉱物種やその結晶形状などを分析した。単純な湿潤化やキレート処理に伴う湿潤化によって溶解性元素が粒子表面を移動、濃集化するが、難溶解性の硫酸カルシウム系鉱物(Gpysumなど)が形成されるとそれらの移動が著しく制限さえることを見出した。鉄系鉱物(goethiteやhematiteなど)にはチタンやクロムなどの重金属の濃集化が一部で見出されたが、飛灰粒子全般に見られる傾向ではなかった。 石炭灰へのアパタイト層/有機アパタイト層を形成させたところ、アモルファス状の滑らかな表面を持つ層を形成することが出来た。アパタイト層では土壌や無処理石炭灰と比較して、水分保持濃が向上する効果を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一般廃棄物焼却飛灰だけでなく石炭灰や廃プラスチック燃料焼却飛灰も対象に、その表面形状や3次元特性を分析できた。この点は当初の計画よりも進展している。 表面への微小鉱物生成も計画通りに実験、観察および分析が出来ている。一部の鉱物への重金属の濃集化の頻度が予想に反し低いことを見出しており、これは翌年度に本格的に研究する重金属の鉱物学的不溶化に向けて有用な知見を得た。 以上より、研究は概ね計画通りに順調に進捗していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は計画通りに順調に進捗していることから、このペースで研究を進めていく予定である。本研究では分析センターにある共通機器(電子顕微鏡およびエネルギー分散型X線分析装置)を高頻度に使用するが、年度末に装置が故障したため、分析に遅れが生じることが懸念される。 他の共通機器や他の研究機関が所有する装置を借り受け、研究遂行への支障を最小限に抑える予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画どおりに研究は進捗し、研究費の執行も概ね研究どおりであったが、4437円の執行残が生じた。 来年度に実施する追加実験において、実験に必要な薬品(約4500円)を追加購入する必要があることから、来年度での使用に回すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度に実施する追加実験において、実験に必要な薬品(ピロ亜硫酸ナトリウムなど、約4500円)を追加購入する必要がある。よってこれらの薬品の購入に使用する予定である。
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