2014 Fiscal Year Research-status Report
精密質量解析に基づいた、標準物質が入手困難な農薬変化体の半定量方法の開発
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26550064
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
高梨 啓和 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (40274740)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 農薬 / 環境変化体 / LC/MS / PTPWs |
Outline of Annual Research Achievements |
農薬の環境変化体(Pesticide Transformation Products in Water environments: PTPWs)の中には試薬が市販されていない物質が多いため、環境サンプル中にPTPWsが高濃度・高検出頻度で存在しても、LC/MS/MSなどを用いた高感度分析を実施することができない場合が多い。そこで本研究では、波長290 nm以下の紫外線をカットするフィルターを透過させたクセノンランプ光を農薬の水溶液に照射してPTPWsを生成させ、これを市販されていないPTPWsの試薬の代わりに用いることを検討した。 生成させたPTPWsを高分解能・高質量精度LC/MSを用いて測定した結果、数多くのイオンが観察された。これらのイオンの中には、LC/MSで測定する際にイオン源およびその後段の差動排気部で非意図的にフラグメンテーション(in-source CID)を起こして生成したproduct ionが含まれている可能性がある。このため、in-source CIDで生成したproduct ionを判別・除外する方法を検討した。また、精密質量解析と天然同位体パターン解析により、PTPWsの分子量関連イオンを選別した。選別した分子量関連イオンの衝突誘起解離実験を行い、2nd generation production spectrumを得た。 以上により、選別した分子量関連イオンのLCカラムリテンションタイム、選択反応モニタリング(SRM)条件を求め、平成26年度の研究実施計画をすべて達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画をすべて達成し、高分解能LC/MSを用いた実験を完了した。さらに、高感度LC/MS/MSを用いた実験を前倒しで着手した。このため、当初計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、in-source CIDにより生成したproduct ionをより詳細に判別することを目的として、複数種類のLCカラムを用いて同一サンプルを分析する予定であった。しかし、平成26年度の研究において、2nd generation production spectrumを観察することでin-source CIDにより生成したproduct ionを容易に判別できることが明らかになったため、複数種類のLCカラムを用いた検討を行う必要がなくなった。 一方、農薬に模擬太陽光を照射して生成させたPTPWsの精密質量を測定したところ、溶媒が付加した付加イオンが観察される場合があった。その付加イオンと精密質量が一致する(分子式が一致する)PTPWsが知られている場合があり、このような場合には、溶媒が付加したPTPWsなのか、溶媒が付加していない別のPTPWsなのかを判別できなかった。 そこで平成27年度は、そのようなイオンの衝突誘起解離実験を実施し、判別することが可能か否かを検討することとした。
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Causes of Carryover |
データ整理のための謝金を積算していたが、そのデータ整理を研究代表者が実施したため未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の研究において新たに判明した問題点である溶媒が付加した付加イオンの判別実験のための試薬購入費に充てたい。
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Research Products
(1 results)