2014 Fiscal Year Research-status Report
自然界に拡散しない環境修復機能強化型の人工細菌育種
Project/Area Number |
26550066
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
原 富次郎 山形大学, 理工学研究科, 教授 (70616193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 好弘 山形大学, 理工学研究科, 教授 (60152237)
高塚 由美子 山形大学, 理工学研究科, 助教 (70570810)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝子組換え微生物の非拡散 / 合成生物 / 環境修復 / C. testosteroni YAZ2株 / ポリ塩化ビフェニル / ビフェニルジオキシゲナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
山形県米沢市で単離された Comamonas testosteroni YAZ2株(YAZ2株)は、環境汚染物質の一つに数えられるポリ塩化ビフェニル類(PCBs)を分解するグラム陰性の好気性桿菌である。本菌株は五塩素化 PCBsまでを良好に分解する特性を有する。その機序は、芳香環水酸化酵素の一種であるビフェニルジオキシゲナーゼ(BDO)を初発の反応とし、続く脱水素酵素、酸素添加酵素、加水分解酵素による反応を経て PCBs を環開裂へと導き、塩化安息香酸へと分解する。これら一群の酵素遺伝子は同じオペロン上にコードされており bph オペロンと称す。本年度は YAZ2株の全ゲノム配列を次世代 DNAシークエンサーを用いて分析した。方法はショットガン法ならびにペアエンド法の二つを用いた。結果は、ゲノム全体の 99.7%(DNAライブラリとしては 2Gb 相当)まで解析は終了し、一部配列について未解読だが、おおよその特徴となる 5.45Mbp と 0.9Mbp のゲノム構造が明らかとなった。またその中には、BDO 以外の芳香環水酸化酵素であるナフタレンジオキシゲナーゼ、ベンゼンジオキシゲナーゼ、テレフタル酸ジオキシゲナーゼなどの有害物質や、カテコールジオキシゲナーゼ、プロトカテク酸ジオキシゲナーゼなどの PCB 代謝産物の一つである安息香酸類の分解に働く酵素の存在も明らかとなった。引き続き、未解読領域の解明とアノテーション作業を急ぐ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ポリ塩化ビフェニル類(PCBs)分解細菌である Comamonas testosteroni YAZ2株(YAZ2株)の全ゲノムを、次世代 DNAシークエンサーを用いておこない、 99.7% まで解読が終了した。ただし、当初ショットガン法で進行中であった分析作業が試薬不良のため中断した。メーカーによる原因究明と代替策(ペアエンド法)を講じるのに時間を要した結果、ゲノム配列取得が数ヶ月遅延した。現在ドラフトレベルだが、YAZ2株が特徴とする多環芳香族炭化水素類の分解機構が明らかになったことにより、次年度は本課題を有為に進展させられると考える。未だ配列上の一部にギャップ(未解読領域)が残っており、残る未解読領域の解明を急ぐ。またアノテーション作業も同時進行中であり、次年度の早期には YAZ2株のゲノム構造解析を完了したい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は分担者を一名増員することで、やや遅れぎみの進捗を回復するよう努める。
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