2015 Fiscal Year Annual Research Report
自己凝集性ペプチドを基材とした金属イオン回収材の開発
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26550068
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| Research Institution | Kyushu University |
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Principal Investigator |
野瀬 健 九州大学, 基幹教育院, 教授 (10301334)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 衣織 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (50311858)
巣山 慶太郎 九州大学, 基幹教育院, 助教 (60707222)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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| Keywords | 機能性分子 / 合成ペプチド / コアセルベーション / 塩析 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
「研究の目的」昨年度に引き続き、原発事故で生じた汚染水の処理や希少金属の捕集のため、温度依存的自己凝集能を持つ合成エラスチン分子を用いた、合成研究、自己凝集能測定、海水や生理食塩水中での凝集特性に関する検討を行った。
「研究実施結果」本年度は、特にダイマーペプチドにおいてその凝集機構の詳細についての検討を行った。トリプトファン含有ジペプチドは、純水中においても濃度0.5 mg/mLという極めて薄い濃度で凝集温度（Tt=39度）という非常に高いコアセルベーション能を示すことを見出した。また、蛍光測定、粒子径測定、分子動力学計算結果から、このペプチドは透明に見える溶液中でも微小凝集体を形成していることを見出した。また、モノマーペプチドを用いて、各種の塩に対する凝集性を調べたところ、(FPGVG)5においては、同じ価数の金属イオンの違いには凝集性はほとんど影響せず、むしろ陰イオンの数、すなわち、金属イオンの価数に影響を受けることが明らかとなった。また、このイオン価数と凝集温度（Tt）は直線性の相関を示すことが判明した。一方、ペプチドのN末端アミノ基をアセチル化すると、この直線の傾きが非常に小さくなることが明らかとなった。この、アセチル化ペプチドはフリー体と比べると１／１０の濃度で有為な凝集を示した。また、陰イオンの違いにおける効果を調べたところ、フリーペプチドでは、フッ素、塩素、臭素の順にTtが低下したが、アセチル体では逆に増加した。また、フリー体ではヨウ素イオンが存在すると、このペプチドがより強く凝集するようになることが見出され、これは、ヨウ素イオンの捕捉に適用できる発見であると考えられた。一方、さらにN末端を調査カルボン酸で修飾すると、鎖長依存的にTtが減少した。これらの結果は、エラスチンペプチドを用いたイオン捕集ポリマーを作製する上での有益な情報を与えた。
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