2014 Fiscal Year Research-status Report
信頼性・耐久性向上に向けた完全固体セラミックス/金属ハイブリット電池の創成
Project/Area Number |
26550073
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 一永 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50422077)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | リチウムイオン電池 / 低温成膜 / 高安定性 / 高信頼性 / 高性能 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)セラミックス粒子の飛行速度ならびに金属基板近傍における衝撃波に関する流体計算・・・セラミックス粒子の飛行速度ならびに粒子が基板に衝突することにより発生する衝撃波を解析し、粒子形状、粒子径ならびに噴射圧力の最適化を図った。その際、工学研究科機械工場と協力して微小粒子を高速に噴射できるノズルの開発も同時に行い、最適化に成功した。 (2)セラミックス粒子・金属基板の化学結合性の最適化計算ならびに粒子の破壊計算・・・セラミックス粒子と金属基板の化学結合性を計算し、粒子ならびに金属基板材料組合せの最適化を図り、アルミニウムへの成膜に成功した。その際、第一原理計算を用いて材料間の結合力計算を行い、付着機構を明らかにした。今後、他の有望な候補材料でも最適化計算を行い、より高い結合性を有する材料組み合わせを選択する。 (3)無焼結プロセスを用いたセラミックス/金属ハイブリット薄膜の創成・・・(1),(2)の計算を連携させて、無焼結プロセスを用いて緻密なセラミックス薄膜を金属基板に成膜を行った。対象となるコバルト酸リチウムをアルミニウム板に噴射することで成膜に成功した。成膜した材料を用いて電気化学特性を評価し、電池として作動することがわかった。その際、AEやレーザー顕微鏡を併用したその場観察も行い、これまでの研究では可視化できなかった電極の膨潤過程を世界に先駆けて可視化することに成功し、電極の安定性を評価することができた。本成果は来年度に開催される学会や学術論文で公表する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り金属導電体に酸化物の成膜に成功し、電気的特性も十分優れていることが電気化学評価から明らかになった。来年度以降も本年度同様に研究を遂行するが、本年度の研究で充放電挙動ならびに界面安定性も従来法で作製したものよりもよりも期待できるため、予定以上の成果が期待できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)接合界面のイオン・電子流動ダイナミクスの電気化学測定ならびに導電機構の解明・・・引き続き前年度の「粒子飛行速度ならびに衝撃波シミュレーション」および「化学結合力 ならびに粒子破壊・基板変形シミュレーション」の結果に基づき、金属体への薄膜成膜ならびに 薄膜の機能性発現を実現する。その際、膜の結晶性ならびに欠陥導入をXRDならびにTEMを用いて評価する。成膜したセラミックス/金属界面のイオン・電子流動ダイナミクスは電気化学的評価法を用いて評価する。電気化学的測定には、電気化学インピーダンススペクトロスコピー法を用 い、くし型電極およびスポット電極で評価する。くし型電極は膜全体の平均的なイオン・電子物 性を評価し、スポット電極では、最高 1ミクロン程度の極めて限られた領域のイオン・ 電子物性を評価する。また、基板をケミカルエッチングで取り除くことにより垂直方向のイオン・電子ダイナ ミクスを評価する。これにより、膜の局所性や異方性を評価することが可能となる。 (2) プロトタイプハイブリット燃料電池・リチウムイオン電池の創成と性能実験で成膜した緻密膜に多孔質な電極材料を成膜することでプロトタイプの電池を創成する。 その際、金属支持基板をアノード材として活用する。燃料電池もしくはリチウムイオン電池電解質材料の成膜が容易で安定性が高い方を中心に検討を行う。創成したプロトタイプの電池を用いて、 発電試験ならびに充放電試験をおこなう。研究の進展状況によっては、性能評価だけでなく安定性についても検討を行う。特に、昨年度、開発に成功したアコースティックエミッション法(AE)やレーザー顕微鏡などのその場観察を併用した接合界面の機械的安定性の評価を重点的に行う。
|
Causes of Carryover |
物品費で計上したセラミックス粉末が企業の好意で格安で提供していただいたことと、研究補助用の人件費を計上していたものの、謝金を出す予定だった学生の研究テーマになり、支出が不要となったため、予定の執行額よりも小額となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度、産総研中部センターと本研究に関して共同で行うことが決定し、中部センターでの実験も増えることから旅費が当初計画していたものよりも増える可能性がある。また、ガスやセラミックス粉末等の物品費が昨年度よりも必要となるため、全額使用する予定である。
|