2015 Fiscal Year Research-status Report
信頼性・耐久性向上に向けた完全固体セラミックス/金属ハイブリット電池の創成
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26550073
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 一永 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50422077)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リチウムイオン電池 / 低温成膜 / 高安定性 / 高信頼性 / 高性能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、世界にさきがけ無焼結でコバルト酸リチウムの成膜に成功し、電池としても動作することを確認した。2015年度まで行った実験・理論計算を組み合わせることで有効な条件を見いだすことができた。また、計画段階では成膜ならびに電池として動作すること主眼を置いていたが、高い性能ならびに極めて低い劣化率を両立できる可能性が出てきた。 昨年に引き続き主に2つの視点からアプローチを行い、成果を上げることができた。 1.複合酸化物粒子の飛行速度ならびに金属基板近傍において発生する衝撃波計算・・・コバルト酸リチウムの飛行速度ならびに粒子が基板に衝突することで発生する衝撃波を解析し、粒子形状・粒子径・ガス種・噴射圧力・距離等の検討を行い、最適化を実施した。 2. 複合酸化物粒子・基板の化学結合力の最適化・・・第一原理計算を用いてコバルト酸リチウムに対する各金属の化学結合力を計算するのと同時に電気的性能の両立を図るための最適化を行い、最適な材料選択を行った。 以上の2つのアプローチより無焼結でコバルト酸リチウム厚膜の成膜に成功し、電池として充放電特性も良好だった。特に、充放電サイクル特性が良好で今後は充放電密度の向上に力を入れる。 また、その場観察手法を駆使し、充放電による電極・集電金属界面における剥離挙動の観察に成功し、界面劣化が一般的に考えられているものと異なることがわかった。それらの成果の一部は機械学会で発表した。本成果は来年度に学術誌で発表する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画調書においては、低温焼結で複合酸化物を成膜し電池として機能することを主眼に置いていたが、想定以上の高性能であり、また、充放電サイクルでの劣化率が著しく低いという成果が得られた。より高性能にするために厚膜化を推進する。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階では電解質が液体であるため完全固体電池ではない。電解質も固体化し、電極を厚膜化することで全固体電池の高出力化につなげたい。それが実現できればモバイルだけでなく幅広い分野での応用展開が可能になると考えられる。 そこで、特に今年度は以下の2点を重点的に推進する。 1.電解質の固体化・・・現在は電解液を用いて電池を構成しているが、電解質も無焼結で成膜することで低環境負荷で電池を作成することができる。また、長寿命化・高安定性が期待できる。 2.電極の厚膜化・・・現在、数層の積層には成功しているがミリ・センチオーダーの積層を成功させることができれば、充電容量も大きくなり幅広い分野での応用が期待できる。
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Causes of Carryover |
物品費で計上したセラミックス粉末が企業の好意で格安で提供いただいたこと、また、謝金を出す予定だった学生の研究テーマになったため、学生への謝金としての支出が不要となり、予定よりも少額の執行となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残りの研究を推進するための消耗品ならびにこれまで研究成果として検証した確実な成果を論文や国際会議等で世界に発信するために使用する。
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