2015 Fiscal Year Research-status Report
原生動物ハリタイヨウチュウによる水質モニタリング法の生物学的基盤
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26550082
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉村 知里 神戸大学, 学内共同利用施設等, 助教 (60362761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
洲崎 敏伸 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00187692)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ハリタイヨウチュウ / 軸足収縮のしくみ / カルシウムイオン / ガドリニウムイオン / 水銀イオン / 培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハリタイヨウチュウは、軸足の先端に付着した餌虫を、軸足を収縮させることにより細胞体の近傍にまで引き寄せ捕食する。この際の軸足収縮のしくみは、エサの接触刺激により機械受容Ca2+チャンネルが開き、その結果細胞外から流入したCa2+により微小管が脱重合すると考えられる。有害物質(たとえばHg2+によっても、この経路が活性化されて、軸足の短縮が生じ、それによって基底面からの離脱が生じている可能性がある。)すなわち、機械受容Ca2+チャネルの活性化により細胞外から流入したCa2+により、軸足内微小管の脱重合と軸足の短縮が生じると考えられる。Hg2+などを含む有害物質による軸足収縮も、同様の機構が介在している可能性があった。Hg2+による軸足の収縮現象には、外液のCa2+が必要で、機械受容Ca2+チャネルの阻害剤であるGd3+により阻害されることがわかった。 ハリタイヨウチュウを培養するためには、現在は、イーストエキストラクト・ポリペプトン・トリプトン・酢酸ナトリウムの混合液に、餌として単細胞緑藻類クロロゴニウムを加え、20℃で培養している。細胞が最大増殖を迎えるまでには、約1週間を必要とする。これらの培養成分は大量培養には効果で手間がかかると考え、簡易培養を試みた。しかし、これらの培地成分の必要性や濃度について再検討した結果、やはり最適な方法は現状の培養液の成分であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実用化に向けたモニタリング装置の改良も行った結果、より軽量で小型な装置となった。また、ハリタイヨウチュウの入る測定チャンバーの脱着もより容易な形状となった。
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Strategy for Future Research Activity |
ハリタイヨウチュウの軸足の微細構造の解明のため、遺伝子解析などを行う予定である。
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Research Products
(4 results)