2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of quantitative analytical method for hexavalent chromium and trivalent chromium by detection of mammalian cellular pysiological changes
Project/Area Number |
26550084
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
小川 亜希子 鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90455139)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 六価クロム / 三価クロム / 動物細胞 / クロム検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
クロムは、自然界で金属状態もしくは六価イオンや三価イオン状態で存在し、様々な工業製品に利用されている。六価クロムは強力な酸化剤として知られ環境負荷が大きい一方で、三価クロムは微量必須元素として生体内で糖・脂質代謝制御に関与することから、クロムの電荷状態と存在量について、正確に把握することが大変重要だといえる。現在、クロムの検出には、呈色反応による吸光度測定法、イオンクロマトグラフィーやICP-MSなど分析機器による検出法が開発されているが、既存の検出法では、一般にサンプルの前処理や分析条件の検討が複雑で、分析機器も高額なことも多い。そこで本研究では、クロムが生体機能制御に関連していることに着目し、動物細胞の代謝活性変化を利用した六価クロム・三価クロム検出法を検討してきた。本年度は、鉄鋼資材をクロム検出の試験対象とし、構築した検出系と既存の検出系を用いて評価し結果を比較した。 動物細胞の代謝活性変化を利用したクロム検出では、六価クロム検出にはPANC-1のMTT活性測定を使用し、三価クロムの検出にはPANC-1のLDH活性測定を利用した。また、既存のクロム検出法は、ICP-AES(総クロム量測定)とジフェニルカルバジド吸光光度法(六価クロム量測定)を使用した。これらの検出法を用いて六価クロム・三価クロム量を測定した結果、本研究で構築した検出系の方が既存法よりも低濃度なクロム検出が可能であった。また、構築した検出系を利用し、鉄鋼資材溶出液中の六価クロム・三価クロム検出を行ったところ、動物細胞の代謝活性変化は確認されなかった。したがって、使用した鉄鋼資材からは検出限界以下のクロム量が溶出していたと考えられる。 以上により、動物細胞の代謝活性変化を利用したクロム検出は、六価クロムと三価クロムを別々に検出することができ、既存の検出法に比べて低クロム濃度を検出可能なことが示唆された。
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