2015 Fiscal Year Research-status Report
潜熱蓄熱媒体を用いる新規廃棄物バイオマス燃料化プロセス
Project/Area Number |
26550093
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
葛西 栄輝 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (50134044)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオマス利活 / 排熱利用 / 潜熱蓄熱 / 炭化プロセス / ロータリーキルン |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、1.金属球蓄熱体の合金設計、2.潜熱蓄熱材を用いたバイオマス改質(炭化)実験装置の作製、3.提案プロセスのシミュレーションモデル開発、4.廃熱温度およびバイオマス特性に対応したプロセス原理提案の各項目について研究を進めている。 H27年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 1)有望な合金系素材の熱的特性の精査および変態温度と潜熱量制御法の検討:H26年度の検討で絞り込んだ合金系に関して、加熱・冷却時のヒステリシス現象を含む精度良い測定を行い、熱的特性を調査した。また、当該合金系の組成および調製条件と変態温度、潜熱量に関して詳細な測定を行った。 2)炭化実験装置による効率的なバイオマス改質(炭化)プロセス原理の検討:H26年度に作製した小型回転炭化実験装置を使用して、種々条件を変更したバイオマスの改質実験を行った。バイオマス試料としては、木材チップを基本試料として使用した。蓄熱材の処理温度条件を250~800℃の広範囲に変化させ、炭化装置内の蓄熱体およびバイオマス粒子の運動と熱交換速度、バイオマス試料の乾燥と炭化挙動に関する基礎データを取得した。 3)総合シミュレーションモデルによるプロセス効率の検討:上記炭化実験によって得られた種々のプロセスパラメータと測定結果と比較し、DEMを基本とする本バイオマス炭化プロセスのシミュレーションモデルのフレームを作成した。現在、主要パラメータに関して炭化実験条件の結果と比較しながら適切な範囲の特定を試みており、今後、本シミュレーションモデルの妥当性を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、比較的安価で耐熱性の高い蓄熱合金素材の絞り込みが終了し、その熱的特性について詳細なデータが得られた。また、初年度に作成した小型回転式実験装置を用いたバイオマス試料の炭化実験も順調に進んでおり、本装置の特性を正確に把握すると共に蓄熱体、バイオマス粒子の運動と熱交換速度、バイオマス試料の乾燥と炭化挙動に関する基礎データが広範囲に取得できた。さらに、DEMを基本とする本プロセスのシミュレーションモデルのフレームが完成し、種々の条件における計算結果と実験結果の比較検討が可能になった。 以上のように、本研究は初期計画あるいはそれ以上の進展が得られているものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究の最終年度であり、以下のように研究を推進する計画である。 1.蓄熱体合金の設計と評価:小型回転式炭化実験装置を使用し、蓄熱媒体素材としての合金系の総合評価を行う。ガス雰囲気と温度に応じて適正な合金系の選択ができるように、いくつかの工業炉の廃ガスを想定したガス組成と温度条件における繰り返し加熱試験および冷間強度試験結果等を総合して合金設計と評価を行う。 2.炭化実験装置による効率的なバイオマス改質(炭化)プロセスの検討:上記で検討した合金系蓄熱材を使用して異なるバイオマス試料について炭化改質実験を行う。装置内の蓄熱体およびバイオマス粒子の運動と熱交換速度、バイオマス試料の乾燥と炭化挙動に関する広範囲な条件における基礎データを取得する。 3.総合シミュレーションモデルを併用した本プロセスの高効率化の検討:本研究で作成したシミュレーションモデルによる計算結果の妥当性を確認しながら、炭化実験条件の策定にフィードバックすることにより、高効率プロセス原理の探索を進める。
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