2016 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the Kabu-ido system: An innovative institution for groundwater management in the ring-levee area, Japan
Project/Area Number |
26550101
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
遠藤 崇浩 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (50414032)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地下水 / コモンズ / 輪中 |
Outline of Annual Research Achievements |
地下水の適正利用は日本の水管理政策における重要課題である。高度経済成長期に各地で発生した地下水の過剰くみ上げに対する反省から、地下水の利用規制が日本各地に広まった。しかし、今では地下水位上昇によるインフラストラクチャーへの悪影響、防災面における地下水の重要さの再認識といった理由から、地下水管理政策は使用規制型から有効活用型への変革が求められている。本研究ではそのモデルケースとして、江戸時代に輪中で編み出された株井戸制度を分析し、そこから現代の地下水管理政策への教訓を引き出すことを目的とする。 株井戸制度は濃尾平野にかつて存在していた地下水管理制度である。株井戸は従来歴史学および地理学で研究されてきたテーマだが、今ではほとんど忘れ去られた事例である。本研究は環境政策研究という従来にない視点から株井戸を研究し、それを日本における先駆的な地下水管理制度と再評価するものである。 株井戸は濃尾平野内の数ある輪中のうち福束・高須・下笠輪中に存在していた。本研究では比較的一次史料が残存している福束および高須輪中における株井戸の研究を行った。福束輪中についてはこれまで活用されてこなかった日記史料を活用して、江戸時代における地下水管理の実態を明らかにした。また高須輪中についてはコモンズ論の視点から住民自治を中心とする井戸規制のしくみを解明した。 研究期間全体の成果であるが、学術論文公刊(4本)、国際学会発表(2件)新聞記事執筆(2件)を発表した。
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Research Products
(1 results)