2014 Fiscal Year Research-status Report
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26550106
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
志賀 和人 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70334034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 俊幸 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50271846)
山本 伸幸 独立行政法人森林総合研究所, 林業経営・政策研究領域, 林業動向解析室長 (90284025)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 森林管理制度 / 林政学 / 循環型人工林経営 / 森林利用 / 森林経営 / 森林共同組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
森林管理論の方法と現代日本の森林管理制度の問題点に関して、林業経済学会研究会Boxで研究代表者・分担者が報告を行い、以下の研究成果を公表した。 1 日本とドイツ語圏諸国における森林法制と林政研究の枠組みを検討し、日本の特徴と森林管理制度、政策の経路依存性、市場経済と経営対応、制度・政策の歴史を明らかにし、国家政策の枠内での制度把握や林業振興視点を超えた制度論の展開と利用、経営、管理概念と社会との関係性の再定義の重要性を指摘した(学会発表1~4、著書1)。 2 1951年森林法、2001年森林・林業基本法下における森林経営における組織イノベーションの特徴と国立公園地域における森林管理の問題点と課題を国際比較に基づき検討した。国際的な森林管理の手法とプロセスは、1990年代以降、木材生産を中心とした施業経営管理を中心としたものから生態的、社会的、経済的持続性を備えた順応型管理に転換されているが、日本は2000年代においても1951年森林法の全面改正に踏み込めず、2001年森林・林業基本法による「望ましい林業構造」の確立を通じた林業生産の活性化を通じて、林業の持続的かつ健全な発展と森林の多面的機能の持続的発揮を森林・林業政策の目標にしている(著書2、雑誌論文2・3)。 3 ドイツ語圏・北欧諸国との比較により日本の人工林経営の脆弱性を資金循環、経営組織、市場対応の視点から分析した。ドイツ語圏の森林経営が概ね200ha以上の経営単位におけるフェルスターによる経営管理を前提に経営区単位の年間収支均衡型の連年経営を行っているのに対して、日本では間断経営での伐期単位の経営収支の均衡が追及され、その代償として日本林業の森林資源構成の不均衡と素材の安定供給、安定雇用における困難性を抱え込み、林業事業体や森林共同組織のあり方を大きく規定した(著書1、雑誌論文1)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度としては、研究の達成度、成果発表とも以下の通り順調に進展しているので、「おおむね順調に進展している」とした。 1 林政研究と先行研究のレビューに基づき、日本の森林管理制度と林政研究の問題点を国際比較に基づき検討し、学会報告と議論により森林資源と社会、市場経済と経営対応、制度・政策の基層理解を明らかにした。 2 雑誌論文3、図書2、学会発表4の成果を公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に基づき定期的に研究会を開催するとともに実態調査や精通者からの聞き取り調査を進め、森林利用と社会(土屋)、市場経済と経営対応(志賀)、法制度・政策の展開(山本)に関する分析をさらに深化させ、その相互関係を森林管理制度論として集約し、日本における制度、政策の枠組み構築の提案につなげる。 1 市場経済の国際化に対するしたフィンランド、オーストリア連邦有林における経営展開と自然環境管理に関する制度的枠組みを把握し、その制度的枠組みの成立、発展過程と日本との制度的相違点を明らかにする。 2 日本における循環型人工林経営と自治体政策の展開に関して、北海道、東北、九州を中心に経営システムと制度・政策の関係を分析する。 3 日本の森林・林業政策の基軸となっている国有林、森林計画、森林整備、森林組合、保安林制度と林業労働・林業事業体、流通加工対策と関連する行政・経営組織の組織間関係について、その現状と問題点を分析し、最終年度における新たな制度発展の方向性の提示につなげる。
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Causes of Carryover |
初年度に研究全体の枠組みの検討と取りまとめおよび国内調査に重点を置き、海外調査の実施を調査対象の選定と分析視点の検討との関係で翌年度に繰り越したため、旅費の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
北欧、ドイツ語圏諸国への海外旅費として、平成27年度に使用する。
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Research Products
(9 results)