2015 Fiscal Year Research-status Report
ラオス・ナムトゥン2ダム建設の生活再建事業における貧困が生まれる要因の分析
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26550108
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 麻衣子 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (50431474)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 援助・地域協力 / 貧困削減 / 資源環境管理 / 住民移転 / 国際研究者交流(ラオス) |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度の研究スケジュールは、次のようであった。4~6月現地での会合,アンケート票の確定、7~3月アンケート調査の実施。しかしながら、アンケート調査は未だ実施できていない。その理由は以下の通りである。ナムトゥン 2ダム周辺の全移転村(16村)での全世帯調査の許可を得るため、生計回復プログラム実施主体(ナムトゥン電力社)と交渉を続けたが、難航していた。そのため、類似のプログラムが実施されたTheun-Hinbounダムを代替対象ケースとして検討するために現地視察を行うなど、他の可能性を探った。その後、ダム建設に関わる一連の事業が2015年12月に終了し、その後の管理は国に移管されるということであったので、8月にヴィエンチャンにあるMinistry of Enegery and Mineを訪問し、交渉の結果、翌年の調査の許可を得ることができた。 この間、入手が可能な衛星画像や事業報告書からデータを得ることで、研究を進めた。具体的には、ランドサット画像を用いて、移転16村の移転後の農地利用や、周辺の森林の環境変化を解析した。これに加えて、ナムトゥン 2 電力社の公表しているレポートなどの2次資料から生活・健康状況や、事業実施の経過や問題についての情報を得て、移転後に16村内で生じた社会的・経済的格差の要因を分析し、さらに、事業が有していたと考えられる課題について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究実績の概要で述べたように、研究遂行の上で必須であるアンケート調査がまだ実施できていないことにより、進捗自体は遅れている。しかしながら、この間も入手可能な2次資料で研究を進め、また、調査は8月に実施予定であるため、最終年度であるH28年度に一定の成果を出すことは可能であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
8月に調査を実施し、その後、分析を進め、H29年3月に研究協力者であるラオス国立大学の教員の協力を得て、ビエンチャンにて調査報告と研究成果の共有のためのワークショップを行う予定である。当該ワークシップは一般公開で行い、ラオス国立大学の資源・環境計画に関わる研究者や学生はもちろん、事業者であった電力会社や、現ダム管理者であるMinistry of Energy and Mineなどの職員も招いて取り行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究実績の概要および現在までの達成度で述べたように、事業者との交渉が難航したため、アンケート調査が実施できていないことにより、研究費の繰越が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査の実施が遅れているため、経費使用計画は当初より後ろ倒しとなっているが、使途について大きな変更はない。調査可能となったことと、年度末のワークショップに関する打ち合わせについて現地協力者との協議も進んでいることから、問題なく使用できるものと考える。
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Research Products
(3 results)