2016 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis on the most suitable allocation of resources of the emissions trading scheme (ETS) assuming maximization behavior of national interests by national sovereignty
Project/Area Number |
26550110
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
市橋 勝 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (10223108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 慎治 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (00346529)
吉田 雄一朗 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (70339919)
後藤 大策 広島大学, 国際協力研究科, 准教授 (80432847)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 排出権取引制度 / 産業連関分析 / CBDR原則 |
Outline of Annual Research Achievements |
排出権取引市場の低迷原因として、世界的な経済的不況という状況に加えて、その制度の持つ複雑さということが考えられるため、最終年度は日本の排出権取引制度の導入を主に検討することにした。 具体的には、環境省(2012)の予想需要のデータに基づき、排出権取引制度の導入効果(トリートメント効果)を産業連関モデルによって検討した。その結果、制度を導入せずに排出量を削減した場合の効果(BAUケース)と制度導入による場合の効果(ETSケース)を検討した結果、両ケースとも波及効果の合計はマイナスとなるが、ETSケースではその負の影響が一段と大きくなる結果を得た。その額は約マイナス1.3兆円(GDP比で約-0.14%)であった。波及効果が負となるという点は環境省(2012)の結果と同じである。だが、雇用への影響は雇用形態を問わず正の波及効果をもたらすことが分かった。このことは、排出権取引制度の導入によって需要が減少する銑鉄部門などでは雇用吸収能力が高くないために雇用への影響が小さいのに対し、排出権取引制度導入の恩恵を受ける部門ではまだ雇用吸収能力が高いことを意味している。 従って、排出権取引制度を日本で導入することは、雇用面でのプラス効果は期待できるものの、産出効果としては大きな誘因を持たないという結論を得た。このような状況が世界各国でどのようになっているのかという課題は、今後検討していくべき方向として残されている。 また、世界の排出権取引制度の検討状況がどうなっているのかということを把握するために、国際研究集会に参加してEU及びアメリカ等での検討状況に関する知見を得た。
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Research Products
(3 results)