2016 Fiscal Year Annual Research Report
An empirical study of the effects of collaborative environment value creation on improving the sustainability of activities to preserve natural environments
Project/Area Number |
26550111
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
上月 康則 徳島大学, 大学院理工学研究部, 教授 (60225373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 亮一 徳島大学, 大学院理工学研究部, 講師 (50361879)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 行動意図 / 信頼 / 防災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,環境活動の参加者による新たな環境価値の共創が活動の継続性に及ぼす影響を明らかにすることである.新しい仮説として「活動の主催者と参加者の間で行われる,新たな環境価値やその形成プロセス(価値共創)が,参加意欲や活動の継続性を高める」ことを提案し,それを実証する. 今年度は,地域に醸成される信頼価値に注目し,信頼が地域のために活動する意欲との関係について調査研究を行った.対象とする課題は,地域の防災活動と,環境とは異なるが,住民が主体的に取り組むべき地域課題である点は共通しており,一般性は高い. 対象とした地域は,南海トラフ巨大地震で甚大な津波被害が想定されている,徳島市津田地区で,申請者らは,安価でかつ簡単に貼付できる想定津波浸水深表示シール(以下,津波シール)を考案し,地元の津田中学生,自主防災組織と一緒に,住民の目に付き易い住宅や店舗の壁に津波シールを貼付する活動を行った.その結果,貼付承諾率は8割をも越し,津波シールの認知率はハザードマップよりも2倍高く,自宅の防災対策を促す効果もあった. 特に,対象とした住民にアンケートを取ると,「防災対策を充実させる人」は「中学生に対する責任」を強く感じていることを統計的に明らかにすることができた.津田中学生の防災活動は,「ぼうさい甲子園」で毎年表彰されるなどのレベルにあり,住民はその活動を高く評価,中学生を信頼し,また自身も信頼されたいと考え,自身の防災対策を進める動機になっていることがわかった.これは地域で継続的に活動する子ども世代がいると,成人や高齢者それを頼りにし,また彼らに信頼されたいと思い,それが自身の行動意図になることを示唆している.今回は防災の活動を対象に検討したが,地域の環境問題でも同様のことが期待でき,環境への関心や危機感の低い人へは,こうした働きかけも有効であると思われる.
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Research Products
(3 results)