2014 Fiscal Year Research-status Report
モンゴル国における自動車廃蓄電池の利用実態と再活用の可能性に関する研究
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26550113
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
戸敷 浩介 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (00542424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
劉 庭秀 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (70323087)
内藤 博敬 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (30254262)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 廃蓄電池 / レアアース / 資源回収 / モンゴル国 / 鉛汚染 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず日本のモンゴル国向け輸出自動車数の推移、モンゴル国内における輸入自動車の輸入元国別推移について統計資料など収集し把握した。その結果、2005年以降、日本からの輸出自動車は1万台を突破し、近年は年間3.5~4.5万台で推移している。またモンゴル国内の登録自動車の輸入元国別推移では、2006年以降、日本が80%以上の割合を占めており、同国のモータリゼーションは日本からの輸入自動車に支えられていることが分かった。ただし、本研究で着目しているハイブリッド自動車については、輸出入統計に詳細な分類がないために不明であった。 9月には同国の首都ウランバートル市において、中古自動車市場、中古部品販売業者などの現場視察、ヒアリング調査等を行った。中古自動車市場は、ハイブリッド自動車の区画が数多く設けられており、更に中古部品販売業者は既に使用済みとなったNi-MH蓄電池を数台程度回収・保管していた。 自動車用鉛蓄電池は、同国では自動車用だけではなく遊牧民らが家庭用蓄電池として活用している。近年ではモータリゼーションにより鉛蓄電池そのものの需要が高まり、製品として輸入された新品の鉛蓄電池が市場に流通している。更に、劣化した鉛蓄電池を回収する業者が現れ、管理が届かない草原地域で破砕・溶融をしている施設も稼働し始めていた。そこで、ウランバートル市内と郊外の草原地域(施設周辺含む)20か所の土壌をサンプリングし、モンゴル国立獣医学研究所の協力を得て原子吸光分析で土壌中重金属濃度を測定したところ、特に施設周辺では鉛5,000~17,000ppm、カドミウム6.5~95ppmであることが明らかとなった。この施設周辺の遊牧民に対するヒアリング調査では、重金属濃度との関連は不明であるが、施設稼働後に家畜が数十頭死亡していることが分かった。ただし、家畜の血液は鉛の影響による有核化が見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、主に9月の現地調査において、モンゴル国の交通省または輸出入を管理する税関などから、統計資料(報告者の研究グループが2010年頃に収集し、年式や車種などの記載がある)を収集することで、ハイブリッド自動車及びNi-MH蓄電池の潜在排出量を推計する計画であった。しかし、モンゴル国政府の改組などがあり、現時点では統計資料の所在が不明となっており、また改組以降もこれらの統計が取られているか定かではない。従って、一年目の成果としてNi-MH蓄電池がモンゴル国内にどの程度流通しているかを明らかにすることが出来なかった。一方、鉛蓄電池は既にモンゴル国内に製品として輸入され、自動車用や家庭用の蓄電池として活用されていること、劣化した鉛蓄電池は放置されるのではなく、回収・リサイクルというルートが出来つつあること、そのリサイクル活動が草原の遊牧環境に大きな影響を与えている可能性があることなど、新たな状況が明らかになった。 そこで、当初はごみ捨て場や草原など鉛蓄電池が捨てられている場所を中心に行う予定であった土壌サンプリングと鉛濃度のマッピングについて、自動車関連の市場、自動車修理工場、交通量が多い交差点、鉛蓄電池の回収拠点、破砕・溶融施設などの周辺を中心に行ったため、この点では当初の計画より現状に即した調査結果が得られたと考えている。ただし、当初の計画では鉛に暴露している家畜の血液には有核化が見られることを想定していたが、今回の調査では有核化が見られなかったため、家畜の死亡要因については未だ不明である点が多い。 以上をまとめると、特に鉛蓄電池に関しては当初より多くの成果が得られたが、Ni-MH蓄電池や全体のフローに関しては十分な成果が得られたとは言えないため、研究の進捗状況は、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の計画段階では、自動車用鉛蓄電池は劣化後に遊牧民やゲル地区住民らが家庭用蓄電池として使用し、更に廃棄されるというルートを想定していたが、本研究の現地調査の結果、この数年で鉛蓄電池の需要が高まり、更に2013年から草原地域で鉛蓄電池の破砕・溶融施設が稼働し始めている。その他、郊外にはHDPEや金属製品の回収・リサイクル業者の拠点が表れ始めている。これらの成果を基に、モンゴル国の都市化とモータリゼーションを背景とする草原地域の重金属汚染の実態調査、家畜の健康調査、汚染や健康被害の原因となるリサイクルのマテリアルフロー調査を学際的視点から調査研究するプロジェクトを立ち上げ、今年度から基盤研究B(海外学術調査)として採択された。 そこで、今後本研究では、モンゴル国内の鉛蓄電池とNi-MH蓄電池の潜在量について、中古車市場におけるハイブリッド自動車の販売量、都市部におけるハイブリッド自動車の交通量などから調査を行う。また、将来の潜在排出量など特にNi-MH蓄電池については、中古部品販売業者等の回収・保管状況などを調査し、その潜在排出量について調査を行う。 現状では、モンゴル国内においてNi-MH蓄電池を再活用するための技術はない。そこで今後本研究ではNi-MH蓄電池を現地でどのように再活用するか、そのための技術的課題や経済的な課題、必要な制度などについて、日本国内のリサイクル業者や自動車メーカーへのインタビュー調査や、モンゴル国内の研究機関や中古部品販売業における現地調査などを中心に行う
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Causes of Carryover |
当初は、本研究で夏季と冬季の2回、現地調査を行う予定であった。しかし、前述の通り、夏の調査において、鉛蓄電池の再活用に関するマテリアルフローに変化が生じていること、草原に設置された施設周辺土壌の鉛濃度が非常に高いこと、家畜の鉛による健康被害については、その調査方法について変更すべき点があることなどが分かった。そこで、冬季に予定していた調査に関しては、共同研究者や現地のカウンターパートと計画を練り直し、平成27年度に改めて行うことにした。このため、主に旅費の差額が生じ、次年度に使用することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に繰り越した費用は、モンゴル国における鉛蓄電池及びNi-MH蓄電池の流通量調査、将来の潜在排出量の調査にかかる旅費、及び現地における通訳者、車両借上げ・運転者など研究補助者への謝金として主に使用する。なお、それぞれの内訳は、旅費(戸敷)250千円、通訳者(8,000円×7日間)56千円、車両借上げ・運転者(17千円×6日間)を予定している。
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] A study on the relationship between motorization and heavy metal contamination in Mongolia2014
Author(s)
Toshiki, K., Nitou, H., Yu, J, S., Buyantogtokh, Ch., Amgalan, N., Javzandolgor, Ts.
Organizer
7th Asian Automotive Environmental Forum
Place of Presentation
Mongolian University of Science and Technology, Ulaanbaatar City, Mongolia
Year and Date
2014-11-22 – 2014-11-23