2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26560010
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
木下 武志 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (90244772)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | デッサン / 視線計測 / 学習経験 / デザイン教育 / アイマークレコーダ / 視線データ / 画像処理計測 / 遠近法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、静物デッサンを対象としたアイマークレコーダによる視線行動の観察と分析を行い、デッサンの学習経験の長い場合と短い場合の視線行動に、どのような差や特徴があるのか調べることを目的とする。デッサン制作時の視線行動の差や特徴を明らかにすることで、科学的根拠に基づいたデッサン教育にすることが期待できる。 本研究では、デッサン制作中の制作者の視線行動をアイマークレコーダで記録し、学習経験の長さの差異による視線行動の差を調べた(実験1)。また、実験参加者は一人の熟練者と学習経験に差のある4人の生徒で、実験はそれぞれ3時間、個別に実施した。デッサン教育の学習経験のない学生3人に対し、1年間のデッサン教育を行い、段階的なモチーフを見方の変化を調べた(実験2)。そして、デッサン教育の学習経験の長さの差が、描画された制作物にどのような差異を生じるのか、画像処理計測により調べる(実験3)。 実験1の結果として、ヒートマップ等の7種類の視線データをもとに分析した結果、(1)学習経験の長い場合は、モチーフ周辺をみている時間が長く、モチーフ方向とパネルとの視線の行き来の回数が多い。(2)学習経験の短い場合は、狭い範囲に視線が集中しており、モチーフだけに偏った見方をする。また、モチーフ方向とパネルとの視線の行き来の回数が少ない。という傾向が示唆された。これらの傾向は、学習経験が長い実験参加者ほど、デッサン制作に必要な制作方法や技術を体得している傾向にあり、その結果が視線行動に現れたものと考えられる。 実験2の結果は、現在分析を終えており、考察中である。実験3により、学習経験の長い程、遠近法やモチーフのプロポーションの正確さ、明度バランスの良さが高くなる傾向が示された。
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