2015 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国における歴史環境設計の可能性に関する研究
Project/Area Number |
26560013
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷 正和 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (60281549)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歴史的建築 / バングラデシュ / バナーキュラー建築 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当該研究の最終年度にあたるため、これまでの調査研究分析の結果を受け、以下のように、調査分析を継続し、全体のまとめを行った。 本研究はデザイン学による発展途上国への新たな国際貢献の方法を探るため、近年経済成長の著しいバングラデシュにおける歴史環境設計の可能性についての定性的、定量的評価を目的としている。発展途上国では、記念碑的建造物は価値が認められているものの、住宅、店舗などのバナキュラー建築は保存に値するとは認識されていない。このため、経済発展の過程で、このような建築は急速に姿を消しているので、バナーキュラー建築を評価し、その保存のための方法論を確立することは新たな途上国支援の道筋となると考えられる。初年度は第1回調査をコックスバザール市およびその周辺のバナキュラー建築を対象として、第2回調査は範囲をチッタゴン市まで広げて行った。第1回調査では築100年前後のラカイン族の住居がコックスバザール市周辺に点在することが明らかとなり、そのうち8棟を実測調査した。本年度は、第2回調査で残存が確認された、英領期の建築物の実測調査を行うとともに、研究計画全体のまとめと意識調査のため、チッタゴン市とコックスバザール市において、研究者、住民を対象としたワークショップを実施した。歴史的バナーキュラー建築が開発の圧力に押され、近代的な建築物に置き換わりつつある現状と、住民らは住居に住み続けたいという希望がある一方で、建築の補修・改修に関する材料や人材等が不足している問題点が明らかになる等、研究成果の共有と今後の研究の可能性を討議した。
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Research Products
(5 results)