2015 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚情報を利用した盲人用道路横断訓練ソフトウエアの開発とその評価
Project/Area Number |
26560014
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
伊藤 精英 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (90325895)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 音響VR / 歩行訓練 / 視覚障害者 / ソフトウエア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,盲人が手軽に使える「道路横断訓練ソフトウエア」を開発し,その有用性を明らかにすることである.当事者研究者の参加により,盲人ユーザの視点から開発できる点を特長とする. 初年度である26年度には,車両走行音を録音し,それらを音源とした音響VRを作成,PC用訓練ソフトを試作した.操作方法,課題等は全て音声で説明され,キーボードで全てが操作できるため,盲人単独での使用が可能である.試作ソフトでは,信号機のない横断歩道を渡ろうとしている場面が設定された.速度を落とさずに通過する車の音,減速して停止する車の音等,10種類の状況音が提示され,「安全に横断できる」と思ったタイミングでキーを押すと,正誤が音声でフィードバックされる.試用した盲人はいずれも試作ソフトの有用性を認めたが,横断状況の難易度,操作性の問題点の指摘もあった. 27年度は,横断場面・状況の音響VRの改良を主とした.横断場面は「生活道路」と「信号機のない横断歩道」の2種類であった.いずれの場面においても,難易度を5段階設けた.難易度は,走行音の聞きやすさ(ハイブリッド車/ガソリン車),車線数,停止している車(アイドリング中/エンジン停止中)の有無等によって変化させた. この改良版ソフトを試用してもらい,音響VRによる状況の実在感,課題の難易度について尋ねたところ,難易度の異なる課題の配列順が適切であるとの評価であった.ただし,フィードバックが正誤のみである点に改善を求められた.なぜ危険であったのかの状況説明,および走行車両の接近に注意を喚起する音声を,フィードバックで付加した(改良版ソフトv2)ところ,盲人ユーザからは単独使用でも安全な横断判断を学習できると高く評価された.当初の計画ではスマートフォンで使えるソフトウエアも作成する予定であったが,期間内の実現には至らなかった.
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