2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26560015
|
Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
松村 誠一郎 東京工科大学, デザイン学部, 准教授 (10436701)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | インタラクティブアート / 展示 / 映像データ記録 / 画像解析 / 定量化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はインタラクティブアート作品の実際の展示において、短期間の作品展示の観察をもって制作者がシステムの改良を施していた現状を鑑み、これを改善するために鑑賞者の行動を定量化するシステムの開発を目的としている。具体的にはインタラクティブアート作品を体験する鑑賞者の全行動を撮影した映像データを分析し、作品の前での鑑賞者の行動パターンに近似性が見られるかどうかを検討する。長期展示のため、映像データの実時間は膨大なものとなり、人間の目視によってすべてを観察するには限界がある。本研究では以下の段階で映像データを取得、分析を自動化するシステムの構築を目指している。 1.全展示期間の映像データを撮影、保存する。 2.鑑賞者が存在する映像データのみを選別する。 3.鑑賞者の滞留時間、移動の遷移状態を映像データから数値化する。 初年度は展示作品”Dancing Mirror”に実装する映像記録システムを開発し、2014年12月4日-2015年1月12日の期間に川崎市市民ミュージアムで開催された「魔法の美術館」展にて運用した。結果として、1日8時間、年末年始の休業・休館日を除く30日分の映像データを取得と保存を実施した。映像データの記録には、Apple MacBook Proと外付けHDD(3TB)をUSB3.0規格で接続し、Webカメラ(Logitech C270)からの入力データを作品の体験セッション毎に記録し、サンプルデータの採取を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書の「②研究期間に何をどこまで明らかにしようとするのか」において、 (1) 展示場の音環境と体験者の身体動作の動画記録/測定システムの開発と実装。 (2) 長期展示を通してシステムを運用し、大量の体験者の行動データを採取する。 (3) 採取データを分析し、インタラクションの深度を定量化する。 の3段階を記述した。このうち初年度は(1)及び(2)の大部分が実践された。当初は映像の記録と同時に画像解析を実施するシステムを運用する予定であったが、コンピュータの処理の負荷が高くなり通常の作品展示が成立しないことが確認されたため、映像記録のみを行う措置に転換した。環境音の採取システムについては試行したが、コンピュータでの過負荷処理が発生したのと、展示会場の川崎市市民ミュージアムでは作品の出力音を十分に認識可能な環境にあったため、記録を実施しなかった。このシステムの必要性及び構築の有無については2年目以降の検討課題とすることとした。想定する解決策としては、音響記録用のコンピュータを別途準備し、作品動作用と兼ねている映像記録用コンピュータとのネットワーク接続(またはMIDI接続)を用いた同期システムを構築することを検討している。保存した音響データの共通ラベリング、同期タイミングの正確性が必要となる。また、将来的な目標である環境音に連動した作品の音量調整システムについては、音量よりも音域や音質の問題である可能性もあるため着手していない。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目である平成27年度は、平成26年度で未達成であった以下の項目について引き続き開発を進め、展示現場での試験実装を行う予定である。 ・環境音の記録システムの構築。 ・OpenCVによる非実時間の映像解析システムの構築 ・映像解析データの可視化。
|
Causes of Carryover |
初年度は当初予定していた映像データ解析システム、環境音採取システムの開発を次年度に繰り越し、映像データ記録システムの安定化に注力した。そのため、現在所有しているApple MacBook Proを用いた開発に終始したため、予定していた新規Macbookの購入には至らなかった。購入したWindowsコンピュータは展示用であり、外付けHDDも1台で過不足なかった。2年目の次年度は画像解析用、及び環境音採取システムのために1台Macbookを始め、追加機材を新規購入予定である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
Apple MacBookPro 15inch 2.9GHz core i7 ×1 364,800円、外付けHDD(4TB)×2 計80,000円、マイク×1 10,000円、オーディオインターフェイスNative Instruments Komplete Audio6 ×1 25,000円、及び各種消耗品 \20,000 計534,000円程度を購入予定。
|