2017 Fiscal Year Annual Research Report
Job Design and Management for Developing Female Leaders : From the Perspective of Corporate Social Responsibility
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26560025
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
榁田 智子 福山市立大学, 都市経営学部, 准教授 (10456585)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ワークライフバランス / 女性労働 / 人的資源管理 / 職務設計(ジョブデザイン) / はりつき勤務 / 母性保護 / ロールモデル / 標準化の困難性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、女性の人的資源としての開発可能性とコア人材としての積極的活用の可能性について、職場へのはりつき勤務の解消を手がかりに考察しようとするものである。これまでの研究で、(1)日本において高スキル業務に携わる女性労働力が潜在化してしまうのは、画一的な処遇に原因の一つがあること、(2)性差と職務能力の相関を指摘する研究成果は多様な分野で見受けられるものの、その示唆をいかにして組織運営や職務設計に反映させるのかについて十分な議論がされていないことを指摘した。日本における働き方と女性のライフイベント、ワークライフバランスとのミスマッチを詳細に検討することの重要性に鑑みて、以下の課題に取り組んだ。その課題とは、(1)ライフイベントの発生による女性労働者本人の働き方および組織のマネジメントの変化についての検討、(2)有能な女性の働き方に関するロールモデルを蓄積することの意義の再考、(3)女性労働に関わるマターの一般化および特殊化の可能性と限界についての考察、の三点である。 期間中の研究の中で明らかにしたことは次のとおりである。(1)ライフイベントの発生とそれに伴う本人や周囲の変化をとらえる場合、属する組織の公式・非公式的制度とあわせて社会文化的背景をも含めて考察することの必要性、(2)ライフイベントの発生と人的資源としての質的変化を、就業管理とキャリア発達の両面から捉えることの不可避性、(3)ライフイベントやワークライフバランスそのものの質の個別性は非常に強く、働き方に関わる制度として一般化するのが困難な事象も多くあること、換言すれば、個別性の強い課題への対応の困難性と不可避性、以上の三点である。ロールモデルの蓄積の数が必要と言われている女性労働の研究において、あえて特殊性の強い事象から普遍的な命題を見出すことの意義を示唆したことは、本研究の貢献といえる。
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