2015 Fiscal Year Research-status Report
首都直下型地震発災後の高層住宅居住者向け自宅滞在型避難生活の提案
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26560035
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Research Institution | Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
久木 章江 文化学園大学, 造形学部, 教授 (00259706)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自宅滞在型避難生活 / 高層マンション / 首都直下型地震 / 避難生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高層マンションの多い東京都心部で首都直下型地震が発生した後の避難生活に着目し、自宅滞在型避難生活の重要性とその発展にむけた問題提起とその解決案について検討するものである。 平成26年度は災害後の避難生活における情報入手の在り方や情報伝達の可能性について着目し、WEBアンケートを実施した。 平成27年度は前年度の調査結果を分析した上で、避難所に行くかどうかの判断要素に大きな影響を与えるトイレに着目し、新たなWEBアンケート調査を実施した。調査対象はこれまでのアンケートと同様で東京都心部の10階建て以上のマンションの10階以上に暮らす一般居住者であり、回答者は258名である。調査の結果、ライフライン被害に対する認識が甘いこと、行政への依存度が高く、自助意識や自宅での備蓄に対する意識が薄いことが明らかであった。また災害後の避難生活時にトイレを使用する意識も高く、マンション地下部分に汚水が氾濫する可能性の高いこともわかった。 現在、さらなる分析を進めつつあるが、これまでに分析した内容については2016年度に発表する予定で原稿執筆を進めている。また平成26年度の調査結果については、平成27年度に国内外で論文発表を行った。本研究の成果については、比較的国外での注目度が高く、今後も国内外での成果公表は継続していく。 また東日本大震災から五年が経過し、徐々に当時の避難生活について一般市民からの経験談を聞ける状況になってきたため、このようなヒアリング調査についても本研究の一部として組み込んでいる。次年度以降も継続調査を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
災害後の避難生活に対する備蓄、情報、ライフラインに対する意識と備えに関する調査を実施し、分析した。またこれまでの研究成果を総合し、経年変化についても意識しながらの分析と考察を進めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度でもあり、さらなる調査を行うと同時に、今後の自宅滞在型避難生活における現状と課題についての結論をまとめていく予定である。 ただし、熊本の地震により、複数回の大きな地震による被害という新しい事例が生じ、避難所で生活するか否かの判断基準がこれまでとは異なる傾向になりつつある。 このような変化についても意識しつつ、首都直下型地震発生時の状況を明確に把握し、対策について具体的な提案を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究内容の分析をふまえて、予定していた調査のうちの一つを次年度に変更することにしたことと、実施したアンケート調査の対象者が少なく、アンケート委託費用が予定より安価にならざるをえなかったこと、次年度に発表予定の国際学会論文の締め切り等が延期され英文校正や参加費の支出時期がずれたこと、国内の学会発表が関東で実施され、旅費を使用しなかったことなどによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の国内外の学会発表は比較的遠方で実施されるため、その出張費の支出を予定している。また一つWEBアンケート調査を追加して実施する予定である。さらに熊本での地震による避難生活への意識の変化や方向性について再検討するためのヒアリング調査等も実施する予定である。
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Research Products
(4 results)