2016 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of a new strategy for prevention of metabolic syndrome by colonic hydrogen
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26560059
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
西村 直道 静岡大学, 農学部, 教授 (10341679)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大腸発酵 / 水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
食事誘発性肥満ラットに大腸水素発生性の難消化性糖質を与えると脂肪組織中の水素濃度が上昇し、脂肪組織からのIL-6分泌を抑制することをこれまでに明らかにした。また、このIL-6分泌抑制に、高脂肪食摂取時の腸管透過性亢進によるエンドトキシン流入増加に対する難消化性糖質の抑制作用でないことも示した。したがって、メタボリックシンドロームの要因となる脂肪組織における酸化ストレスを大腸水素が軽減したためと考えられ、生体への水素デリバリーは生理的に意義があると思われる。ここまでの研究で大腸水素がメタボリックシンドロームの軽減に寄与することを示したので、大腸水素による生体への水素デリバリーの維持について検証した。
水素デリバリーには、大腸水素のほか、水素ガスの吸入、水素水の投与が考えられる。これまでに水素ガス吸入や水素水の投与では、30~60分で水素が体外に排出され、長時間維持できないことが明らかにされている。本研究では、大腸水素による生体への水素デリバリーが24時間を通じてどの程度維持されるかを明らかにすることを目的とした。
ラットに難消化性糖質として高アミロースでんぷん(HAS)を飼料に20%添加して28日間与えた。試験開始時、試験開始1、2、4週間後に24時間の(呼気+放屁)水素排出量を経時的に測定した。その結果、24時間高水素生成を維持していることがわかった。次に10% HAS飼料を用いたところ、高水素生成を24時間維持できなかった。大腸切除ラットで、小腸HAS消化率と大腸HAS供給量、大腸HAS利用量を求めたところ、10% HAS飼料による大腸HAS供給量は大腸におけるHAS利用量と同等であった。したがって、大腸水素発生を高く維持するためには、十分量の発酵基質を投与する必要があることがわかった。
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