2014 Fiscal Year Research-status Report
飛行ロボットの制御に関する研究とその情報工学教育や公開講座への導入
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26560106
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
高久 有一 福井工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50328689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 仁司 福井工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70413771)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 飛行ロボット / 模型飛行機の制御 / 自動旋回飛行 / 室内模型飛行機 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、本学科がこれまで行ってきた低学年からの組込み系システムの学習を発展させた新しいPBL教育を構築する。その題材として、室内飛行ロボットの自動制御を行うこととした。これは、より自由度の高いPBL形式の情報工学教育手法の1つになると考えている。なお、室内に限定したのは、安全性や経済性のためである。 初年度は、主に飛行ロボットの製作、自動制御システムの製作、学生実験への導入の準備を行った。特に自動制御をするためのシステムは、ArduinoMega(ATmega2560)を用いたものと、PIC32MXを用いたものの2種類を製作した。PIC32MXは、ArduinoMegaと比べると、処理が高速であり拡張性も高いが、システムが複雑に見え、プログラムの開発環境等もワンチップマイコンの扱いに慣れていない者からすると、敷居が高いと言わざるを得ない。しかし、ArduinoMegaは、ライブラリーが充実しており、開発環境も扱いやすい上、プログラミングに関しての情報も沢山あり、各種センサーも比較的容易に使える。本システムは、学生実験でも用いるため、Arduinoを用いて構成することにした。自動飛行に必要な情報は、10軸センサ(Adafruit10DOF)で取得している。このセンサを用いることで、加速度、角速度、地磁気それぞれの3軸データは、数msec程度で取得できるため、飛行制御に用いることが出来たが、高度に関しては、データ取得に20msec以上かかるため制御に用いていない。現在は前述の9軸のデータを用いることで、ピッチ、ロール方向の制御を行い、バスケットコート2面程度の広さの体育館においても、水平飛行や360度旋回を自動制御により安定して行うことができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、主に飛行ロボットの製作、自動制御システムの製作、学生実験への導入の準備を行った。室内模型飛行機の制御に必要な情報を、機体に載せたワンチップマイコンで取得し、それを元にピッチとロール方向の制御を行うシステムを製作した。このシステムを用い、狭い体育館の中でも水平飛行や自動旋回等を安定して行うことができた。これにより、基本的な制御アルゴリズムの確認ができたと言える。これらの制御アルゴリズムは、Arduinoを用いることで、ワンチップマイコンに不慣れであっても比較的簡単にプログラミングできることを確認した。以上により、発展的な組込み系システムの演習として、学生でも利用しやすい環境が整ったといえる。これらの成果は、本校の学生が、第10回全日本学生室内飛行ロボットコンテストへ参加する際にも生かされた。また、平成26年度北陸地区学生による研究発表会にて、以下の2件のタイトルで発表も行った。 ・マイコンによる室内模型飛行機の制御 小林貴人、高久有一 ・ロボット制御用システムの開発 濱田槙亮、高久有一 現在、これらのシステムを利用し、学生実験および公開講座を行う準備を進めている。実験を行った学生に提出してもらうレポートやアンケートの内容に関しては、共同研究者とともに検討中である。特に、プロジェクトマネージメントを意識させ、システムの提案書、開発計画書、および試験飛行に関する計画書とチェックリスト等を作成させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの試作機は、エルロン、エレベータ、モーター、ラダーを制御する室内模型飛行機である。これは、制御は直感的で分かりやすいものの、運動性が高いため初心者には飛ばすのが難しい。今まで10名ほどの学生に飛行練習を何度も行ってもらったが、飛ばせるようになったのは、2名だけであった。そこで、学生実験で使うため、初心者でも比較的簡単に操縦できるような、エルロンの無いラダーだけで方向制御ができる安定性重視の模型飛行機を設計・製作する必要がある。また、実験で使う模型飛行機は、学生が短時間で組み立てることができるように、主要部分は事前に製作しておくことにする。制御システムに関しては、Arduinoを用いた現システムが安定して動作しているため、そのまま学生実験で使うことにする。これらを用い、電子情報工学科4年生の4週間にわたる学生実験に、組込み系システムの演習として「室内飛行ロボットの飛行制御の基礎」を行う。 学生には、レポートやアンケートおよび試験飛行の動画などを提出してもらい、それを評価する。評価の際は、水平飛行、旋回等の自動制御を基本課題として、どの程度まで制御できたかを成績に大きく反映させるなど結果を重視し、学生のやる気を引き出すように心がける。また、本研究で行っていることを一般の方々にも知っていただくため、公開講座として「インドア模型飛行機の製作と飛行練習」を行う。 これらについて、自由度の高いPBL形式の情報工学教育手法の1つとして成果をまとめ、高専教育等に投稿する準備をする。
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