2014 Fiscal Year Research-status Report
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26560115
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大島 純 静岡大学, 情報学研究科, 教授 (70281722)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 協調学習 / Tablet |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度計画では,エキスパートグループの活動においてTabletを用いて教材を電子化することの有効性を検討した.知識構成型ジグソー法の中で,同じ部分的教材を学習するエキスパートグループの活動は,学習者の関心や動機付けの違いによって理解度に差が生じやすい.また,学習が個人ベースに陥りやすいという問題点がある.そこで,次の2点の設計指針に基づき,エキスパートグループの教材をTabletで提供できるように電子化した.第一の設計指針は,Dual Coding Theoryに基づくマルチメディア教材の開発指針で,例えば高校生物では,人体の複雑なメカニズムについて理解する必要があり,その内容を紙ベースの教科書で適切に提供するには限界がある.電子教材では,メカニズムの動画によるダイナミックな表現や,特定の内容への意図的な注意喚起,そして随伴性の高い音声情報等による有益情報を構成して学習者に提供することができる. 第二の設計指針は,社会共有的調整学習(Socially shared regulation of learning)から得られる示唆で,協調学習中のメタ認知t系な制御のメカニズムを利用した.エキスパートグループでは,課題構造は個人の学習目標を達成するために協調学習を展開するという共同調整学習(Co-regulated learning)が適切に機能する必要がある.これを実現するためには,個人空間における自己調整学習(Self-regulated learning)と,共同空間における共同調整学習の両者において学習者を適切に支援する必要がある. 上述した2点の設計指針に基づいて知識構成型ジグソー法のエキスパートグループの電子教材とワークシートを作成した上で,学習活動を設計し協力校の生物担当教諭に実践を実施してもらい,生徒の学習活動データを収集し,事前事後の内容理解を測定した結果,統制群の学習者と比較してより適切な協調学習での対話に学習者が参加できることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度に計画した実践は順調に実施でき,その分析も事例分析を含めて適切に行われている.社会ネットワーク分析を用いた対話分析によって,統制群と実験群の学習中の対話を量的に分析することでその違いをより客観的に比較可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度の分析結果に基づいて,エキスパートグループにおける教材の電子化とそれを用いた学習活動の設計の改善と,さらにジグソーグループにおいて知識統合活動を支援するワークシートの電子化とその学習活動の設計を展開し,同様に学習内容の理解の事前から事後テストへの変化,学習活動中の生徒の言語活動と非言語的な行為のビデオ記録とTablet上の電子記録のデータをもとに分析し,最終年度の実践への知見を導き出す.
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Causes of Carryover |
本年度実践計画を遂行するにあたり,本研究に配分可能な運営交付金の額が十分にあり,また,連絡調整や実践の教材作成などにかかわる費用を自助努力で削減できたこと,さらに成果発表の予定学会の時期が翌年度に移行したことなどによる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本報告書に記載の通り,本年度国際学会も含めて発表の予定があり,そこで支出するものである.
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Research Products
(1 results)