2015 Fiscal Year Research-status Report
大学等における環境安全教育の現状調査と体感型教育手法の開発
Project/Area Number |
26560116
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
富田 賢吾 名古屋大学, 環境安全衛生推進本部, 教授 (70422459)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 環境安全教育 / 教材開発 / E-ラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの複数大学の教育教材、講習の調査を踏まえ、教育のための標準教材として、プレゼンテーション形式で活用できる教材資料を作成した。教育教材の内容は昨年度から行っている事故の解析情報を元にしており、これまでの大阪大学の事故情報に名古屋大学の情報を追加し、より多くのデータを元にデータの解析を行い、危険作業等の抽出を行った。 大学間での事故の傾向に大きな差はなく、同じような事例が多く発生している。化学物質やガラスの取扱等の事故が非常に多い傾向も同様であった。実験時の基本事項に関しても特に経験の浅い学生らは知らず、事故発生の要因になっている傾向も見て取れたため、それらも踏まえ、実験時の基本事項の教育教材も作成した。結果として、以下に示す教育教材を作成した。 「実験時の基本(一人実験禁止、実験は常時監視、実験室内の飲食禁止、薬品の実験室外への持ち出し禁止、実験室の整理・整頓、保護衣・保護具、リスクアセスメントの重要性、緊急時対応、ガラス・工具等の取扱など)」 、「実験廃棄物の処理」、「電気安全」、「化学物質取扱(全般的注意事項、爆発・火災等の防止、健康障害の防止、毒物・劇物の安全な取り扱い等)」、「高圧ガス安全取扱」、「寒剤安全取扱」、「レーザー安全取扱」、「機械安全」、「フィールドワークの危険」 また、実験系のみでなく、大学内で通常の生活する上でも交通事故や、誤報も含めた火災報知機の発報、その対応、廃棄物の不適切な分別、電気火災など多数の事故が起きている状況であり、地震災害の対応や整理整頓などを含めた一般安全としての教育教材も作成した。 これらの教材自身にも実際に起きた事故の情報を多く含めており、身近な具体的な事例を活用することで高い教育効果が出るものと考えている。なお、これらの作成した教材をWeb上で学内限定で公開し、広く教育として活用できる下地を整えた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書に記載したように実際に学内で起きた事故事例や、他大学における教育内容、手法の調査から、具体的に教育を行うべき内容について整理し、実際にそれを踏まえた教育教材を作成し、Webを通じて公開することができており、今後のe-ラーニング化等を含め、広く教育を展開できる下地ができていると考えている。 昨年まで行ってきたブラインドシミュレーションを取り入れた受講者参加方の講習教材の改良等も行っており、これらの教育手法も組み合わせた教育教材のレベルアップを見据えて、さらなる展開が図れるものと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現場における教育の推進も進めつつ、講習会等の形式で同資料を活用した教育を実践する。講習等を通じ、教材のブラッシュアップを行い、並行して英語化やe-ラーニングでの活用を進める予定である。 事故事例の解析は教育教材の内容の精査や、実際の事例自体が効果の高い教材として使用できるため、引き続き、範囲を広げ、事故情報の収集と解析を行う。今年度までに阪大と名大での事故情報だけでなく、国立七大学における事故情報の収集を行うことができた。8000件程度の事故情報のデータとなっており、解析を進め、類似事例の抽出や教育教材としての活用を行う予定である。 また、教育教材のレベルアップとして、ビデオ教材の活用や、自分で考えるための工夫などを入れ込むことで、より効果的な教材を目指す予定である。
|
Causes of Carryover |
ビデオ教材の作成や実験のための物品、消耗品費を見込み、申請していたが、主に今年度はプレゼンテーション用の教材作成と、教育時に使用するための器具、測定器の購入に当てたため、次年度使用額としての額が生じた。また、国外における学会発表等の予算を見込み、申請していたが、より適した学会での発表とするため、次年度の学会発表に当てるため、次年度使用額としての額が生じた
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
ビデオ教材作成のための物品等を購入する。また、引き続き、他大学、他研究機関における教育の実情や事故事例の調査を行うための旅費、および国内、国外の学会での発表旅費として使用する予定である。
|