2015 Fiscal Year Research-status Report
若手教員育成のための介入授業型メンタリングシステムの基礎研究
Project/Area Number |
26560132
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
浅田 匡 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00184143)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | メンタリング / 教師教育 / 教授スキル / 授業設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,昨年度と同様に小学校新任教師及び中学校若手教師を対象に,介入型メンタリングの実践を行った。小学校は3年生社会科,中学校は2年生国語科である。 昨年度の実践を踏まえ,今年度は授業における介入型メンタリングに加え,指導案作成段階におけるメンタリグを行うことを明確に位置づけた。それは,メンターが授業実施中にその後の授業展開を予測しながら介入を行うことが求められるため,少なくとも授業展開を理解しておくことが必要だったからである。 その結果,指導案作成時にメンターが焦点をあてたところは,「学習目標の設定は学習活動の展開を導く」「手立ての記入は学習活動と手立ては重複するから,評価の観点や学習活動のための留意点を書く」など,実際の授業の具体的なイメージ化と授業展開のストーリ化を促す,メンタリグで言えばキャリア機能の指導支援が主として行われていた。また,授業実施段階では,生徒の学習状況の把握,学習目標の確認,生徒に関する情報提供,教授行動の指示に加えて,授業中の教師行動を肯定的に評価する情緒的サポートであるコメントが行われていた。教授行動の指示は全体の47.1%を占めたが,メンターのコメント内容に理由まで述べられたものは26.5%であった。On-going(介入)によるメンタリングにおいては,メンティ(初任者もしくは若手教師)がメンターのコメントによりその教授場面で行う教授行動が適切であるかを判断するよりも実際に行った結果の生徒の反応によりその適切さを感じるということ,すなわちメンティが納得するということではないかということが考えられた。 介入型メンタリングの有用性は本年度の結果を含めてある程度検証されたのではないかと思われるが,より有用性を高めるためにプログラムとしてどのような要件が求められるかは次年度の課題と考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
介入型メンタリングの有用性は,前年度の結果も加え,本年度の事例を通して,かなり検証されてきたと考え,おおむね計画通りに進行していると考えられる。しかし,介入型メンタリングを継続的に行うことの効果についてはまだ扱えていない。昨年度と本年度で中学校においては同一教師,指導者を対象にデータを収集しているので,その比較により継続的に行うことの有用性と問題点を明らかにすることが残されている。この点が十分に行えない理由として,指導案作成時から授業実施,さらに授業後の話し合いという3つのフェーズを繰り返し行うことは,新任もしくは若手教師と指導者ともに負担が大きいことから,さらなる簡便化も考える必要があると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度を迎え,これまでの対象者と同一の対象者で介入型メンタリングを行い,このプログラムを繰り返し行うことのメリットと問題点を探ることを1つの課題とする。本年度行う事例も加えて,介入型メンタリングを行う手続きを明確にし,初任者研修などでの実施可能なプログラムのプロトタイプを開発する。
|
Causes of Carryover |
ほぼ予定通りに支出したが,所属大学からの国際学会発表補助との併用により,若干の次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度であり,研究成果を研究代表者が在外研究を行った際の研究期間での評価を受けるとともに国際学会での発表の旅費に充当する。
|