2014 Fiscal Year Research-status Report
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26560134
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
孫 媛 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (00249939)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学習ログデータ / 認知診断テスト / フィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は,知識・技能の測定ツールであるテストから得られる結果と,学習・教育活動により生成される学習ログを連携させて,個々の学習者に最適化された学習診断を行う方法を研究することである。平成26年度は,オープンソースのeラーニングプラットフォームであるMoodleに学習コンテンツおよび認知診断テストを実装し,学習者にMoodle上で学習させることでデータの収集を行い,今後の研究基盤を作ることを主な目的とした。 まず,学習者の多様な学習環境を考慮したうえで,Web空間上での学習者の学習活動を把握するために,Web上の学習コンテンツを特定する仕組みについて検討した。具体的には,学習に関連すると思われるキーワードをWikipediaから取得し,ターゲットとなる単語との関連度および学習上の重要度を考慮した重みづけを行った。これにより,学習者がどのような学習コンテンツを利用して学習しているのかを特定することが可能となった。 また,eラーニングシステムに蓄積された学習ログデータの分析を通して,学習者の学習パターンのいくつかを把握することができた。留学生の日本語学習を対象にデータ収集を行い,分析を行った結果,日本語学習における留学生の学習パターンや回答パターンには母語の影響があり,漢字圏の留学生よりも非漢字圏の学生が回答に時間を要することや,共通の母語話者の回答パターンが類似していることが示された。 学習診断を行った後は,学習者に対して診断結果をフィードバックし,学習改善への活用を促すことも重要である。そこで,学習者によるFB情報の活用状況を,眼球運動などの行動指標を用いて検討した。 さらに,認知診断モデルに関連する研究にも取り組み,学習者の反応データに基づくQ-matrixの自動生成手法の提案も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
学習ログデータを学習特性の診断研究に活用できるようにするために,学習ログデータの収集基盤を構築するという平成26年度の目標を達成できた。それに加えて,認知診断モデルにおけるコア技術となる知識構造を示すQ-matrixの自動推定の研究や,眼球運動等の行動指標を用いた学習者のフィードバック情報の利用についての研究などについては,当初の予想以上に進展した。これらの研究成果は,国際学会・国内大会,学術論文等などで積極的に発信した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究体制を継承して,研究をさらに進展させる予定である。具体的には,認知診断モデルの研究,学習ログデータの収集・分析手法の探索,さらに学習ログの収集過程で行うフィードバック方法の提案および効果検証を行っていく予定である。また,教育現場との連携を深め,eラーニングシステム上での学習・教育活動を多面的に実践し,共同で研究を進めていく。成果を国際・国内学会や学術論文等を通して積極的に発信する予定である。
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Causes of Carryover |
システム開発用のサーバー利用料や人件費等をほかの予算で賄うことができたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
人件費,学習ログの収集および分析を行うために必要なサーバーの利用料,文献資料の入手,調査や学会発表の旅費などに用いる
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[Book] 「診断的日本語語彙テストの開発」『日本語教育のための言語テストガイドブック』2015
Author(s)
孫媛,島田めぐみ,谷部弘子,編集:李在鎬,著者:大隅敦子,谷内美智子,小野塚若菜,今井新悟,小林典子,鎌田修,村上京子,孫媛,島田めぐみ,谷部弘子,安高紀子,野口裕之
Total Pages
21(248)
Publisher
くろしお