2015 Fiscal Year Annual Research Report
土佐湾海底遺構調査による南海トラフ地震の地震性地殻変動と災害状況の究明
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26560147
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
徳山 英一 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 特任教授 (10107451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 亘 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, 研究員 (70435840)
村山 雅史 高知大学, 教育研究部自然科学系理学部門, 教授 (50261350)
山本 裕二 高知大学, 教育研究部自然科学系理学部門, 准教授 (00452699)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 南海地震 / 海底遺構 / 三崎層群 / 兼山堤 / コンクリート |
Outline of Annual Research Achievements |
高知県西部の土佐清水市爪白と大月町柏島沿岸の海底では石柱と石堤の形状をした構造物が確認されている。そこで、本研究では爪白と柏島の海底構造物の調査を行い、歴史南海地震との関連性を評価するために、対象物の人工物の判定と時代考証を行った。 土佐清水市爪白海岸から50m~200m離れた水深4~7mの海底において、人工的に加工されたと思われる角柱・円柱形をした石材が29本散在していた。高さ約50~160cm、長さは縦横とも約20cmの大きさで代表される。回収した石柱の一部は表面に整形痕と考えられる窪みが確認された。また、その窪みは石柱の長軸に対して時計回りに約60度方向を向く特徴を有していた。1つの石柱は中心部に石柱を貫通する直径14mmの穴の跡が確認された。XRD分析による鉱物同定の結果、海底の石柱は三崎層群竜串層の砂岩を起源としていることがわかった。一方、陸上調査により、爪白地区の覚夢寺(宝永年間以前に建立)で使用されている石段と爪白地区の民家の基礎として使用されていた石材が海底の石柱と同じ特徴(長さ、整形痕、岩石の種類)を有していることが明らかとなった。 大月町柏島では、北側に水深2~5mに垂直に切り立った高さ2m弱の石積壁状の構造物が異なる水深で2列確認されており、地域住民の間では『岡の土手』『沖の土手』と呼ばれ親しまれてきた。その石積構造物はランダムに積み上げられた巨礫(直径数10cm以上)がセメント充填物で強固に膠結しており、海岸から近い海底石積構造物は,数10m海岸線に平行に延びている。また、江戸時代に建造された陸上の防波堤(兼山堤)に対しても平行している。海底石積壁は人工的に建設された防波堤が南海地震により沈降したという仮説が提起できる。白色膠結物の鉱物同定を行ったところ、少なくとも明治時代以降に日本に導入されたコンクリートセメント材料ではないことがわかった。
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Research Products
(5 results)