2015 Fiscal Year Research-status Report
降積雪・地下水人工涵養・人間活動を繋ぐ:高齢化社会を生きるアメニティゾーンの創出
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26560152
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
肥田 登 秋田大学, その他部局等, 名誉教授 (70015832)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地下水人工涵養 / 地下水温 / 水理水頭 / 湧水 / 降積雪 / 融雪 / 高齢化社会 / 扇状地 |
Outline of Annual Research Achievements |
秋田県六郷扇状地の扇端において生活道路の雪を地下水で融かす装置を用いて融雪実験を行った(2016年01月)。装置は幅5cmの融雪プロテクターの50cm長毎の左右に地下水の噴きだし口を計6ヵ所開けた。1か所の噴きだし口からの噴きだし量は.平均して1.7ml/s である。噴きだし量は雪の多少により,水道蛇口で調整する。噴きだす地下水をビーカーに採って測定した結果,水温 10.6~10.7℃(EC 16.27 mS/m)であった。プロテクターの総延長を調節しながら融雪は可能であることが判明した。 六郷扇状地(39°25′N,140°34′E)の扇央・野中と扇端・馬町にあるピエゾメータ(深度は各20m, 50m, 100m)において水理水頭と地下水温の継続観測を行った。野中の水頭と地下水温:20深の最高水頭は3月の融雪末期と5月の灌漑初期に現れ59m台に達し,最低水頭は5月中旬と11月中旬の54m~55mであった。50m深は20m深の変動に準ずる。深度20m深の地下水温は夏6-7月に最低となり,冬1月に最高となる。馬町の水頭と地下水温:20, 50m深の最高水頭は融雪末期と灌漑初期に現れ約47mを記録し,最低水頭は1月~2月の降積雪期に現れ,約43m(20m深)と41m(50m深)である。20, 50, 100m深の順に地下水温は高まる。20m深の地下水温は6月に最低(10.7℃)となり,12-1月に最高(12.8℃)の値に達した。100m深は年間を通して約16.8℃である。20m深付近の地下水温が降積雪期に上昇することは,地下水を融雪に活用する目的に適う。 六郷扇状地のほか,本研究課題の目的にそって,地下水,湧水に関する基礎調査を長岡市,只見町,会津若松市,津軽地方,北杜市,五泉市,阿賀野市,小山市,太田市において行った。海外の関連資料は文献等により補った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画にそって,平成27年度の研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26~27年度の研究実績を基礎におき,科学研究費助成事業(基金助成金)交付申請書にきした平成28年度の研究の実施項目を遂行していく。 高齢化社会において地下水を活用した融雪装置や地下水人工涵養施設をどのように維持管理していくか,この点の考察は今後の重要な研究課題となると実感している。
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Research Products
(1 results)