2014 Fiscal Year Research-status Report
多時期の地理空間情報とGISを用いた地盤の液状化に関する危険度評価の試み
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26560155
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
青山 雅史 お茶の水女子大学, サイエンス&エデュケーションセンター, 研究協力員 (30724744)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 液状化 / 土地条件 / 土地履歴 / 人為的地形改変 / GIS(地理情報システム) / 旧版地形図 / 2011年東北地方太平洋沖地震 / 2013年4月13日淡路島付近で発生した地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、2011年東北地方太平洋沖地震による液状化発生領域とその地形(土地)条件に関する現地調査、GIS(地理情報システム)を用いた解析作業をおこなった。また、2013年4月13日に淡路島付近で発生した地震における液状化発生地点の土地条件を検討し、その成果を取りまとめた。 現地調査に関しては、宮城県北部、福島県南部・南東部、茨城県南東部においておこなった。現地調査では、液状化発生地点や被害状況のマッピング、液状化発生地点の土地条件に関する資料収集や聞き取り調査などを実施した。GISを用いた解析作業に関しては、Google Earth画像の判読結果等も加え、利根川下流低地、久慈川低地、大崎平野における液状化発生領域のポリゴンデータを作成した。そのデータを旧版地形図や地形分類図などと重ね合わせ、液状化発生地点の土地条件を検討した。茨城県南東部においては、砂利採取場分布の変遷を空中写真判読により明らかにし、液状化発生地点との関係を検討した。 それらの結果、旧河道・旧湖沼における液状化発生面積および液状化発生面積率は、明治期以降の河川改修に伴い埋め立てられた領域が特に多数分布する利根川下流低地において、久慈川低地、大崎平野と比較して大幅に高い値であることが判明した。また、茨城県南東部においては、過去の砂利採取場を埋め戻した領域における液状化発生面積率が高い値を示し、既存報告では自然地盤における液状化発生とされていた領域の土地履歴を再検討した結果、過去の砂利採取場を埋め戻した領域であったことが判明した事例が複数みられた。 2013年4月13日に淡路島付近で発生した地震における液状化は、自然地盤における発生は見られず、1970年代から1990年代にかけて浚渫砂で埋め立てられた領域で集中的に発生していた。この成果は、日本地図学会発行の学会誌「地図」に投稿、受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査、GISを用いた解析作業ともにほぼ計画通りに達成できた。特に、液状化発生面積率の地域的差異に関しては、既存研究において報告されていない要因を指摘できた。また、茨城県南東部の液状化発生領域の土地条件に関しては、既存の報告とは異なる新しい知見が得られた。それらの成果の一部を学会発表において公表することができた。2013年4月13日淡路島付近で発生した地震における液状化の土地条件に関しては、その研究成果を取りまとめ、日本地図学会発行の学会誌「地図」に投稿し、受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、那珂川・涸沼低地など液状化発生領域のポリゴンデータの作成が未完了の領域における調査・解析作業を進める。平成26年度の調査研究により、2011年東北地方太平洋沖地震による液状化発生地点には、過去の砂利採取場を埋め戻した領域であることが判明した領域が既存研究の報告以上に多く見出だされたため、東北地方太平洋沖地震による液状化発生地点の土地条件に関する再検討を進める。また、研究計画書に記載したように、土地条件からみた関東地方における液状化危険度の高い領域の抽出を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
2015年1月末に所属機関の異動が決定し、その準備や事務手続き等のため、当初2月末に予定していた茨城県中部への1泊2日の現地調査を取り止めたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
液状化発生領域と土地条件との関係性を検討するうえで、当初予定よりも多くの空中写真を解析作業において利用する必要性が生じたことから、空中写真の購入費用とする予定である。
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Research Products
(3 results)