2016 Fiscal Year Research-status Report
地物の幅に基づくGIS解析手法による「谷津田」の検出と類型化
Project/Area Number |
26560159
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
Sprague David 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター 環境情報基盤研究領域, ユニット長 (90282285)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 水田 / 谷津田 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
農村景観の重要な要素である谷津田を地図化するために、ポリゴンの幅を検出するGISの解析手法を応用し、日本で現在提供されているデジタル水田データの中から幅を基準に狭い水田を類型化することが本研究の主要な目的である。この主な手法として、環境省現存植生図の水田ポリゴンをTIN化し、TINのエッジ長等を活用して、幅によるポリゴンの類型化手法を開発した。これにより、一定の幅(幅100メートル)及び枝分かれする流域の形状基準を基に、水田ポリゴンの領域を「谷津田」と定義し、一貫した解析結果が得られるようになった。千葉県北部の精査地域において、環境省現存植生図による1980年ごろ(第3回自然環境保全基礎調査)及び2000年ごろ(第7回自然環境保全基礎調査)の水田ポリゴンを対象に谷津田を地図化することができた。また、谷津田に隣接する土地利用の分析から、谷津田の多くは樹林に隣接している場合が多く、谷津田の境界線距離に占める樹林の割合を計算した。更に、高解像度人工衛星画像と比較することにより、画像撮影時点における水田の耕作地と比較し、谷津田の存続率を推定することが可能であることが分かった。以上の手法を広域スケールの解析に適応し、全国データが揃う環境省現存植生図(第3回自然環境保全基礎調査)をもとに全国統一の谷津田データベースの構築を開始した。また、公開済みの2000年ごろの環境省現存植生図(第7回自然環境保全基礎調査)を対象に、同様に広域谷津田データベースの構築を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
水田ポリゴンをTIN化し、一定の基準を基に「谷津田」と定義し、一貫した解析結果が得られるようになった。また、衛星画像等と比較して谷津田の存続率を推定する手法も確認することができた。しかし、高精度での全国スケール水田マップ化作業のために実施している大規模データベース構築作業が、「谷津田」の分布等に関する最新の詳細な成果となる計算が残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
全国スケールで谷津田を地図化し、地域分布を明らかにしつつ、全水田に対する面積割合及び隣接する土地利用との関係を割り出す。また、時期の異なる水田ポリゴンデータを精度よく比較するために、空間補正を実施した地域を対象に水田の存続率を計算する。
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Causes of Carryover |
高精度での全国スケール水田マップ化のために実施している大規模データベース構築作業を継続しているが、水田ポリゴンの元データに含まれていたエラーの修正や、ポリゴン幅に基づく「谷津田」検出用のアルゴリズムを適用するプログラムの改良が必要であった。また、作図年や縮尺が異なる複数の地図情報に基づく水田ポリゴンデータを重ねて比較するために詳細な空間補正作業を実施したが、広域な解析範囲全体で細長い水田を重ねるための修正箇所が多く、作業に多大な時間を要した。そのため、最新の人工衛星画像・航空写真を購入し、それらとの比較作業が必要となり、その総合解析に基づく成果発表の費用をくりこした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
空間補正作業やエラー修正を継続しつつ、全国スケールで「谷津田」の分布や隣接土地利用等を計算し、マップ化する。さらに、関東地方においても未公開であった地域の現存植生図(第7回自然環境保全基礎調査)が追加公開されたので、これらのデータと最新の人工衛星画像・航空写真をデータベースに加え、最終的な解析結果として整備し、学会等で発表する。
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