2014 Fiscal Year Research-status Report
レーザスキャンとデジタルヒューマンを融合した大規模実環境のアクセシビリティ評価
Project/Area Number |
26560168
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金井 理 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (90194878)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊達 宏昭 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (20374605)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 安心の社会技術 / デジタルヒューマンモデル / アクセシビリティ / 安全システム / レーザスキャン |
Outline of Annual Research Achievements |
実環境をレーザスキャナ計測して得られた高密度な 3 次元レーザ計測点群から,人間行動シミュレーションのための環境モデルを高精度かつ低コストに自動構築する技術を実現し,さらに,環境モデル上でのデジタルヒューマンモデル(DHM)を用いた人間行動シミュレーションに基づき,実環境のアクセシビリティを定量評価する手法の開発を目的とし以下の成果を得た. (1) 屋内環境の 3 次元計測点群から環境モデルを構築し,得られた環境モデル上で運動学に基づくDHM の歩行シミュレーション機能を開発した.従来,計測点群が低密度な領域では,人が歩行可能な領域を表す歩行面が生成できず,歩行シミュレーションを行えないといった問題や,歩行シミュレーション機能において,DHM の歩行経路が必ずしも滑らかに接続されておらず,不自然な歩行軌跡が生成されてしまうといった問題があった.これらを解決するため,歩行面領域点群を低密度な計測点群からも抽出できる手法を開発し,さらに,DHM の歩行シミュレーションにおいて,Snakesに基づいて,より滑らかで自然な歩行軌跡を生成する最適化アルゴリズムを開発した. (2) 人間の実際の歩行のMotion Captureデータを自動修正し,実験環境と異なる傾斜歩行面などでも,より人間に近い歩行動作を再現する機能を開発した.
以上の研究成果を,精密工学会誌,国際会議Digital Human Modeling Symposium 2014での研究論文,ならびにAsian Conference on Design and Digital Engineering, 精密工学会学術講演会等で公表した.また上記2編の論文がそれぞれ,精密工学会研究奨励賞,およびDigital Human Modeling Symposium 2014でのBest Paper Awardを授賞した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来のDHM の歩行シミュレーション機能の問題点であった,計測点群が低密度な領域では,人が歩行可能な領域を表す歩行面が生成できず,歩行シミュレーションを行えないといった問題や,歩行シミュレーション機能において,DHM の歩行経路が必ずしも滑らかに接続されておらず,不自然な歩行軌跡が生成されてしまうといった問題をこれまでに全て解決し,さらにより自然な歩行軌跡を生成する最適化アルゴリズムを開発し,これを実歩行軌跡と比較しほぼ一致していることが検証できた.以上の研究成果を,精密工学会誌,国際会議Digital Human Modeling Symposium 2014での研究論文,ならびにAsian Conference on Design and Digital Engineering, 精密工学会学術講演会等で公表した.また上記2編の論文がそれぞれ,精密工学会研究奨励賞,およびDigital Human Modeling Symposium 2014でのBest Paper Awardを授賞した.
以上より,本研究はおおむね順調に進展している.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度においては,主にデジタルヒューマンモデルに基づく身体的負荷の定量予測機能の開発を計画している.具体的には下記項目を推進する.
(1)デジタルヒューマンモデルに基づく身体的負荷の定量予測機能の開発,(2)デジタルヒューマンモデルに基づく認知的負荷の定量予測機能の開発,(3)認知的・身体的負荷のパラメータサーベイと不具合発見機能の開発,(4)実被験者とテスト環境を用いた身体的・認知的負荷予測機能の実験的評価と検証
以上の研究項目を推進しすることで,全身の骨格・関節構造を持ち,かつ自律歩行や視覚処理の模擬能力を持った精緻な人間モデルであるデジタルヒューマンモデルを,3次元実環境モデル内で利用シナリオに則して動作させる.そして,身体寸法,関節可動域,筋力,視力などのパラメータを変化させながら,動作時に人間が受けるであろう身体負荷(例えば,階段昇降時の必要関節トルク)や認知的負荷(例えば,歩行経路周辺の案内表示板の認識率)を網羅的に定量予測できる技術を実現する.これにより,従来の実験的方法では不可能であった,実環境のどの部分が,どのようなユーザにとって,どのような利用時に,どの程度支障を生ずるのかが,計算機上で効率的に判断可能とすることを試みる.
|