2014 Fiscal Year Research-status Report
RC構造物の長寿命化に資するUAVを用いた簡易診断法の構築
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26560179
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
阿部 孝弘 福井工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10132599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻野 和彦 福井工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10321431)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | UAV / コンクリート / 橋梁診断 / ひび割れ / 画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,(1)コンクリート表面にあるき裂幅からき裂深さを推定し,画像解析手法を用いてコンクリート内部の欠陥を診断すること,(2)UAV(Unmanned Aerial Vehicle:無人航空機(ラジコンヘリ))を用いて実在する老朽化したRC構造物を調査し,得られた画像からアルカリ骨材反応,塩害,凍害の分類と損傷レベルの判定を行うことにより,(3) RC構造物の長寿命化に資する簡易システムを構築することを目的としている. (1)のき裂幅の推定では,超音波による測定器(東横エルメス社製エルソニックSP・ESI/P-10S)を導入し,AE法を用いてき裂深さの幅と深さの関連について調べた.福井高専所有の連立試験機(東京試験機社製ACYU-2000-2000-SIII)や疲労試験機(島津製作所社製EHF-UV100K2-A30-AS)によりRC梁供試体にき裂を生じさせ,き裂幅とき裂深さを測定した結果,鉄筋やスターラップがある梁においてもき裂深さの測定が可能であること,その測定精度は深さが5cmまでであれば,平均で±3mm程度であることが求められた.また,載荷中のき裂は幅が広がり深さは一定であることから,画像計測によりひび割れ幅を求める手法を検討する必要があることが判った. (2)のUAVを用いた橋梁点検については,鯖江市にかかるA橋について,UAVを用いた調査を実施した.なお,床版の下面を上向きに撮影するために,カメラ治具を準備した.その結果,約40項目の目視点検結果と比較して点検項目の約1/3が同じ判定,約1/3が異なる判定結果,約1/3が判定困難であった.橋梁の全てのスパンやパーツを撮影できていないこと,2年前の目視点検結果と比較していることが原因であると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的(1)として挙げたき裂幅からのき裂深さの推定は,実験室レベルでは可能であることが示された.本年度もRC梁供試体を作製し,連立試験機や疲労試験機を用いて生じさせたき裂から,き裂幅とき裂深さの測定実験を継続的に実施する予定である.なお,UAVにより撮影した空撮画像から,どの程度のき裂幅を測定できるかについての予備実験を行った.長さが1250mm,高さの奥行きが150mmのRC梁供試体について25kN,50kNを100万回載荷して生じた曲げき裂について,き裂幅と被写体との距離を比較した結果,0.1mmのき裂を抽出するには被写体との距離を約1mにする必要があることが判った. 目的(2)として挙げたUAVによる橋梁点検については,鯖江市に実在する老朽化した橋梁について上向き撮影用のカメラ治具を準備し,部分的ではあるが写真撮影を通して橋梁点検を行った.当初,平成26年度はカメラ治具を準備しUAVの改良を行うことを予定していたが,この点については当初の研究計画よりも進めることができた.橋梁点検を実施する上で,一部,UAVが左右にぶれる現象が確認できた.GPS信号に頼らない操縦を行う必要があることが判った.また,橋梁下面は暗いため,投光器などを用いて明るさを上げて撮影を支援する方法も同時に検討する必要があることが判った.なお,UAVを用いた橋梁点検についても平成27年度も継続的に実施する.なお,得られた画像から損傷の種類や損傷レベルの判定を行う点については平成27年度に実施する予定である.したがって,申請書に記載した研究計画通りに研究を概ね進めることができている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究についても研究計画通りに行う.実在する老朽化した橋梁(床版,橋脚や主桁の側面・底面)を対象として,平成27年度も継続してUAVを用いた写真撮影による橋梁点検を実施する.なお,前述の通り,GPSに頼らないUAVの操縦,床版の下面を投光器等で照らしながらの撮影を行う.さらに,UAVによる上空からの空撮画像から,橋梁の3Dモデルを作成する.なお,得られた空撮画像やき裂の抽出結果を3Dモデルのテクスチャとして活用し,橋梁点検結果のデータベースを構築する. また,平成27年度には上記で得られた画像をもとに,き裂の分布状況,実構造物の表面の色の特徴等から損傷の原因(ASR,塩害,凍害等)を特定し,その損傷レベルの判定を行う.そのためには,損傷の種類や損傷レベルの異なる写真を集めパターンの分類を行う.なお,実務者からのアドバイスを得ながら,これらの作業を実施する. 得られた結果は,福井県がこれまでに実施した橋梁の点検結果を含めて地理情報システム(GIS)に格納する.このようなGISを構築することにより,老朽化した橋梁の分布状況の把握だけでなく,老朽化とASRとの関係,橋梁の所在地と塩害との関係等,多面的な分析が地図とリンクした形で実現できるようなRC構造物の長寿命化に資する簡易システムの構築を行う.
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Research Products
(1 results)