2014 Fiscal Year Research-status Report
太平洋島嶼国における災害対応力・復元力の日本への導入
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26560181
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
三村 悟 福島大学, うつくしまふくしま未来支援センター, 客員教授 (10648926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 洋介 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (80386515)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 被害予想・分析・対策 / 災害対応能力 / 太平洋島嶼国 / 防災 |
Outline of Annual Research Achievements |
太平洋の小島嶼国は構造物による災害対策が進んでおらず、自然災害のリスクが大きいとされるが、実際の津波災害などでの人的被害の規模は比較的小さく、構造物に頼らない災害対応力の高さが注目される。一方、我が国では東日本大震災の経験を踏まえ、災害を食い止めることだけを考えるのではなく、災害リスクといかに折り合い生活を継続していくかという視点を取り入れ、そのための教訓を外部から受け入れるという視 座の転換が求められている。本研究は太平洋島嶼のコミュニティレベルの災害対応力、復元力に着目し、日本の防災能力向上活動への適用を図ることを目的としている。 2014年度はソロモン諸島での津波と洪水への対応と復興について現地調査を行うとともに、フィジーで大学、国際機関関係者からのヒアリングを行った。また、国内の災害リスクおよび防災活動について、福島県内および東京圏を中心に調査を行った。 これらの研究活動を通して、太平洋島嶼では伝統的な社会制度やコミュニティの紐帯を元に自助、共助による災害対応力が高いことを確認する一方、このような社会システムに所属しない、新たに島外から移住してきた比較的新しい住民については被害の程度が大きいことが確認できた。また、被災地の復旧・復興にあたっては、被災直後の住民の自助努力による生活再建の取り組みは、特に地方部では活発であるものの、政府や援助団体による施策、特に住宅の再建にあたって次の災害に備える視点が欠けており、再び同様の災害に見舞われるリスクが高い住民が数多く存在することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査およびソロモン諸島国の現地調査を通じて、太平洋島嶼国の被災の特徴を把握するとともに、都市と地方の対応力の差とその原因について考察を進めた。特に当初から研究対象として計画していたソロモン諸島において現地調査前に新たな洪水災害が発生し、災害直後からの応急対応、復旧・復興過程をモニタリングすることができた。 また、12月には国連防災世界会議および日本・太平洋諸島首脳会議 の準備プロセスとして招聘された太平洋島嶼地域の13カ国の防災機関担当者とワークショップを行い、各国の災害リスクと災害対応について情報を得るとともに、グッドプラクティスや課題について意見交換をすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年3月に台風災害を経験したバヌアツ国を対象に、被災状況の調査を行う。特に発災前後の対応について、都市部と離島部の比較をすることで、研究テーマである島嶼の災害対応力について知見を抽出し、得られた教訓の日本への適用について検討する。 研究成果の発表については、学会での発表の他、地域研究に関する図書への寄稿を予定している。
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Causes of Carryover |
海外からワークショップへの招聘旅費を計上していたが、外務省による招聘事業に合わせて開催することで節約した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
バヌアツ国台風被害調査および研究成果に関するワークショップ開催に充当する。
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Research Products
(4 results)