2015 Fiscal Year Research-status Report
10kmの大気を通過する10mの極超音速隕石のシミュレーション
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26560188
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
孫 明宇 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (00311556)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 隕石突入 / 衝撃波 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2013年2月に質量約10kt,直径約17-20mの隕石が,速度約19km/sでロシアのチェリャビンスク州に落下した.この隕石落下および爆発に伴う衝撃波によって建造物などが甚大な被害を受けたことが報告されている.また衝撃波により破砕したガラスや建材の一部により約1000人以上の人々が怪我をし,その被害は南北約180km,東西80kmにも及んだ.過去にも隕石が地球に突入したという事例は何件か報告されており,例えば1908年のツングースカ大爆発などが有名である. このような天体衝突による被害を最小限に抑えるため,危機管理,防災対策の観点から,隕石落下時に生じる衝撃波が地表に与える影響を把握する技術が必要であるといえる.しかしながら,このような現象を数値シミュレーションするためには,隕石付近の流れを正しく解析し,かつ遠距離場の衝撃波圧を正確に計算しなければならない.これは多大な計算コストを要する.たとえば隕石を数mと考えたとき,数十km先の衝撃波を捉えるだけでも大規模,そして多くの格子を必要とするため,数値シミュレーションを行うには計算時間などの点で困難を極める. そこで本研究は大規模格子に対し,移動物体が小さくても計算可能なSubgrid Closure Model (SCM法)を用いている.SCM法は格子に対して物体が小さくても,その位置や速度,加速度などが計算できる.昨年度では本モデルをLagrange-Remap法に基づくプログラムに導入し,2次元の計算領域に対してその妥当性を評価してきた.本年度では3次元の計算領域に対してSCM法を導入し,その妥当性の評価を行った。また遠距離場の平面(地表)に及ぼす誘起衝撃波について解析を行い,モデルの特性について考察を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では大規模な格子に対して移動物体が小さくても計算可能なSCM法を用いて,小隕石突入時に発生する遠距離場衝撃波の3次元数値シミュレーションを行った.その結果の中で,速度履歴を理論値と比較することでモデルの妥当性を評価した.SCM法で計算された速度履歴と理論値はほぼ一致しており,大気と小隕石の相互作用が正しく計算できていることが確認できた.次に小隕石より離れた遠距離場における平面圧力分布を計算,確認することで,地表に与える衝撃波の構造を捉えることができるということが示された.本研究は概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、非構造格子を用い、大気層の鉛直方向の分布を考慮し、地球の大気層に突入する隕石のシミュレーションを行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度に地球データ等の情報及び使用方法を取得するため、国内出張旅費を捻出する必要がある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2回分の国内出張旅費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)