2014 Fiscal Year Research-status Report
骨コラーゲン成分を利用した骨・バイオセラミックスのレーザ接合に関する基礎研究
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26560197
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
但野 茂 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50175444)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生物・生体工学 / 材料加工・処理 / 生体材料 / 再生医学 / セラミックス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、レーザを用いたバイオセラミックスと生体骨組織の接合技術を提案し、実用化の可能性を探ることである。レーザ照射しても熱衝撃で割れないバイオセラミックスをすでに開発しており、同材を用いることで骨との接合が可能となる。骨界面接合力や初期固定強度・剛性等の力学的性質、生体組織との適合性やレーザ生成物の毒性、等のパラメータを調査し、最適なレーザ加工条件と材料製造条件を明らかにする。本年度は、以下の実績が得られた。 1)接合強度向上のための多点接合構造の開発:ウシ骨試料にG-HAp 試験片(板厚1mm)を多点接合し、せん断接合強度が21N(目標値)以上になる方法を検討した。レーザ出力とレーザ光誘導孔径の影響や接合熱影響部の最小化も確認した。本実験にはファイバーレーザ(2kW 発信器搭載二次元レーザ加工機:北海道工業試験場所有)を使用した。 2)より厚いるG-HAp 接合を可能とする継手形状の開発:重ね継手で良好な接合の実績は厚さ1mmのG-HAp である。より厚い1.5mmの板厚G-HApについて、レーザ出力を300Wにすると、骨試験片と接合が可能なことを確認した。またレーザ光誘導光の大きさや形状の検討を実施した。 3)任意の骨形状に対応させる継手形状・接合方法の開発:ほとんどの生体骨は楕円断面をしていることから、表面曲率の任意形状に対応させるための継手形状・接合方法を確認した。 4)接合強度が最大となるG-HAp の開発:骨との接合強度が最大となるG-HAp の成形方法、製造方法、成分比を検討した。ガラス含有率と接合強度を調査し、ガラス含有率が20%のとき最大となることを確認した。またガラス含有率と接合組織構造の影響を確認した。G-HApの焼結温度が1140℃のとき強度が最大となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、接合基礎実験は進展している。骨界面接合力や初期固定強度・剛性等の評価手法を整理するとともに、接合の特性を注意深く整理している。セラミックスについては、焼結したプレートを用いてその強度が上昇するレーザ照射条件が整理できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)接合品質に関する不安定要因の究明:レーザ加工パラメータと接合品質の関係を調査するため、接合品質に影響する要因特性図を作成し、各種要因と加工条件裕度を明確にする。また、接合部の上面外観写真と接合部強度および接合部断面との関係を関連付け、評価基準を作成する。 2)Intact 骨試験片とG-HAp へのレーザ接合適応および安全性評価:レーザ照射生成物の骨細胞影響の確認のため、骨コラーゲンとG-HAp による発泡生成物の毒性試験を行う。これは通常の骨細胞培養実験環境下で実施する。また、発泡生成物には数マイクロ程度の気孔が含まれるので、それが細胞増殖のスカフォールドになる可能性がある。これを検証する。また、実験動物のintact な骨試験片とG-HAp の接合状態を検証する。実験動物から採取したintact な骨試験片とG-HAp をレーザ接合し、接合状態および接合強度を確認する。接合強度目標を21N/1 試験片以上とする。 4)G-HAp ペースト接合:G-HApの原材料をジェラチンとのコラーゲンとでペースト状にした材料を作り、その骨との接合性について検討し、最大接合強度が得られる条件を整理する。 5)動物実験によるinvivo レーザ接合と安全性評価:ウサギによる実験動物を行なうための実験系を開発する。
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Causes of Carryover |
消耗品等について、当初計画より効率的実験に心がけた結果、143,155円の差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は、消耗品に充当する。
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