2014 Fiscal Year Research-status Report
高静水圧下における細胞の不凍結冷却保存効果を検証するためのin-situ観察装置
Project/Area Number |
26560203
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉野 雅彦 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (40201032)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞保存 / 不凍結冷却 / 高静水圧 / 凝固点降下 / その場観察 / 氷点下 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は実験装置の開発を行った。主な開発内容は以下のとおりである。 ①圧力容器:ステンレス製で、内径30mmのチャンバーを有し、最高2000気圧(200MPa)までの耐圧性がある。圧力容器は圧力媒体コンバータ、さらに高圧ポンプに連結されている。上下にサファイヤ窓があり、上部から照明光を入射し下部から偏光顕微鏡で細胞を観察する。チャンバー内部に細胞を収納する容器、温度センサー、温調用ヒーターがある。さらに高圧容器の外部にペルチェ素子を貼り付け、これで容器全体を冷却しながら、内部のヒーターで正確に内部温度をコントロールできることを確認した。 ②偏光顕微鏡:チャンバー内部の細胞を観察するためにはワークディスタンスが1cm程度必要なため、それに適した光学系を設計し専用の顕微鏡を開発した。また顕微鏡を電動のXYステージおよびフォーカス調整用の超精密Zステージに載せ、遠隔で操作できるようにした。さらに透明な細胞を観察するために、照明光と顕微鏡に偏光板を取り付け、偏光顕微鏡を構成した。これにより圧力容器内の細胞を最高200倍の倍率で観察できることを確認した。 本装置を用いて、ゾウリムシおよびメダカの卵を試験片として、高静水圧下での冷却過程のin-situ観察を行い、設計通りの圧力、温度履歴を与えることが出来ることを確認した。非凍結保存の検証は次年度行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では平成26年度は装置開発に専念し、その性能評価および具体的な細胞を使った検証については平成27年度に行う予定であった。しかし、装置開発が予定より早く進み、装置性能の検証および細胞の観察実験まで平成26年度に行うことが出来た。よって「当初の計画以上に進展している」と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は種々の細胞を使い、高圧下の不凍結冷却による細胞の損傷について検討し、不損傷保存法の開発を目指す。
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Causes of Carryover |
当初は本年度の予算180万円で計画していたが、装置の冷却能力が不十分なことが判明し、冷却能力を向上させるため冷却水循環装置など付加的装置を追加で購入する必要が生じ、40万円前倒し請求した。冷却能を向上させるためいくつかの改造案を想定していたが、冷却水循環装置を追加しただけで十分な冷却能力が実現でき、それ以外の装置の追加が不要になった。そのため結果として229753円が未使用額として残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞の冷却実験のための消耗品として使用する予定である。
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