2014 Fiscal Year Research-status Report
心臓組織工学の更なる飛躍への挑戦:―テラヘルツ波と微細加工技術の融合―
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26560209
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
亀井 謙一郎 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 助教 (00588262)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マイクロ流体デバイス / ヒトES/iPS細胞 / 心筋細胞 / 分化誘導 / 成熟化 / テラヘルツ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請では、今まで困難であったヒトES/iPS細胞から成熟した3次元心筋組織を構築する方法を開発する。この目的を達成するために、マイクロ流体デバイス(microFD)とテラヘルツ(THz)波を融合した新技術を開発する。具体的には、A. microFDを応用した3次元心筋組織構築デバイスの開発、B. THz顕微鏡とmicroFDの実験系を開発、C. microFD とTHz顕微鏡を融合し、3D心筋組織の成熟化を行う。 実施項目:microFDを用いた3D心筋組織構築法の開発 本年度では、MicroFDを用いた3D培養を行うことによって、心筋細胞の成熟化を目指した。その結果、適切な細胞外マトリックスと、流路内の形状を選択することによって、自発的に心筋細胞が3D構造を形成し、かつ成熟化した挙動を示し始めることが確認できた。現在、より詳細な心筋細胞の挙動特性を確認している。 実施項目:THz顕微鏡とmicroFDを融合した実験系の開発 本年度では、THz顕微鏡に搭載可能なmicroFDの開発を行った。THz波は水に吸収されてしまうので、従来の培養皿では使用できないことが問題となっていた。そこで、細胞までの水透過距離を出来るだけ短くする必要がある。本研究では、マイクロ流路を用いて、可能な限り水層を薄くし、THz波が十分に細胞に届くような設計を行った。現在、作製したmicroFDを用いて、心筋細胞培養条件を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、申請書した通りに研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で開発・構築した3次元心筋組織細胞やmicroFDを基に、THz波を照射することで心筋組織の更なる成熟化を行う。その際に、THz波を細胞に照射する時間、強度、回数などを検討し、成熟化に最適な条件を見出す。 3次元組織化した心筋組織の機能評価を行うために、まず免疫染色法による成熟心筋細胞マーカー発現の確認(Beta-MHCなど)、細胞周期測定、電気生理学的評価(パッチクランプ法、Microelectrode array(MEA)法)、蛍光プローブによる細胞機能イメージング(膜電位、細胞内Ca2+など)、走査型電子顕微鏡による心筋細胞に特徴的な微細構造の確認(T-tubules)、などの方法を用いて評価する。また得られた組織に於ける全遺伝子発現パターンを、成人心筋組織のそれと比較することによって、本申請で得られた心筋組織がどれだけ成人組織に近づけたかを評価する。また、THz波が細胞に与える影響が明らかとなっていないこともあるので、予定外の影響(副作用)の有無も併せて確認・評価する。
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Causes of Carryover |
マイクロ流体デバイスの作成において、当初予定していたよりも安価な作成プロセスを適用したため、次年度で使用することとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では、心筋細胞のより生物学的な検査を多角的に行う必要がある。そこで、次年度使用分を利用して、より多くの生物学的検査を行う予定である。
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Research Products
(1 results)